セントルチアの爪痕

そんな事ばかりやっているから依然あの男をものに出来ないでいるんだ、 という旨の話をされていたわけだ。 酒の入ったドフラミンゴはとかくよく喋る。 元々よく喋るのに、それに輪をかけ口が回るのだ。 まあ、そんな話をしていれば酒が旨い道理もなく 酔いばかりが異様に回った。 ラブだのピースだのの話だ、 気が触れたのかとばかりにこの男が口にする言葉。 そんなものはとうにうんざりだと言うのに。

「あのガキのどこがいいんだよ」
「あんたみたいに説教臭くないとこじゃないの」
「まぁだ、遊び方も知らねぇぜ」

それにガキは残酷だ。 ドフラミンゴが笑う。

「まだ可愛げがあるでしょう」
「手前も年を喰ったもんだぜ」
「あんたもね」
「馬鹿言うなよ」

この俺は年なんか喰わねぇのさ。 シャンパンを一気に煽ったドフラミンゴはそう言うし、 で酩酊に近い状態だ。 ここ最近はずっとこうで、 何だか自堕落な生活をしていると我ながら思っている。 ある程度の力を持てばつつがなく事も進むわけだ。 途中からドフラミンゴの口は動いているが声が聞こえなくなり、 恐らく半ば眠っていたのだろう。突然肩を抱かれ目が覚める。

「ポートガスがとっ捕まったらしいぜ」
「何」
「こいつは残念ながら夢じゃねえ、なぁ、

耳側で囁くドフラミンゴの声は酷く熱く、彼の高揚を伝える。 ふと胸元に手をあてれば弾けんばかりに心臓が騒いでおり、 酔いが醒める気がした。


2009/4/10(これも又エース、出てきてませんが。これはドフラミンゴだ)
模倣坂心中