どうなってんだ?

恋のようなもの

毎度ながら食い逃げを行い、案外しつこい店主だった為、すたこらと逃げていればこの有様だ。 夜も更けてきた為、今回は野宿を決行する。 自然の音がうるさいほど響き渡り、一向に眠れなくなるとは思わなかった。 満天の星空を仰ぎながら草原に寝転んだエースは、 何となく明日の方向を考えながら手持ち無沙汰に寝返りを打つ。 一人だから詰まらないと知っていた。何となく(それも無駄な事だが)手を伸ばし、 零れ落ちそうな星の一つでも掴めるんじゃないかと思ったが、当然ながら掴める道理はなく、 我ながら間抜けな真似をしてしまったと思う。の事を思い出していただけだ。 だから少しだけ泣きそうになってしまった。女に期待をした所で、 目の届かない所にいる相手を信用できるわけもなく (まぁ、それも全て自分自身をものさしとして図っているからだとは分かっていた) 特別愛したい女だとあの時は思わなかったもので、こうやって思い出す他ない。 今頃あの女は誰に抱かれている事やら。そんな事を考えてしまうのだから、 きっとこれは恋のようなものなのだ。実際、今ここにがいれば又、話は変わってしまう。 あれやこれやと言い訳を並べ立て、きっと逃げてしまう。 これまでと同じように、何となくの嘘を吐き、ある程度の距離感を保ち、 そうしていれば何れ忘れてしまい、性懲りもなく同じ事を繰り返す。星が流れた。 目だけでそれを追った。それでも何故だか今の光景をに見せてやりたいと思ってしまう。 あの海に置いて来た女の事を思い、眠れない日が来るだなんて思いもしなかった。

「どうしたもんかねぇ…」

テンガロンハットを顔に置き、無理やりに目を閉じようとしても 瞼に焼きついたの顔、そうして身体を思い出してしまい、 むしゃくしゃとして寝返りをもう一度打った。


2010/2/23(う~ん…どうだか)
模倣坂心中