永遠に 一緒だ
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まどろみの悪魔
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どうしてもうやらねェんだと問うエースに、明確な答えを出せない状態が二月だ。
出会った頃からずっと俺とお前は触れ合ってきたじゃねェかと億尾もなく言う彼は素直さの権化であり、
そういった部分が気に入っていた事も確かだ。それなのに、
もう二度とエースと寝る事は出来ないと思っている。いや、心に決めた。
朝早く起き、深夜には眠る。誰も騙さず、真摯に相手の事を思いやる。
皆が当然のように行っている行為を出来るだけ自然に、エースにも、マルコにも、誰にでも。
爛れた生活を生まれた頃に戻す作業は困難を極める。
「そういうのはやめたのよ」
「何で」
「何ででも」
「そりゃ、到底納得出来ねェ」
エースは未だ抜け出せないでいる。消費の輪廻から。自身の価値を見出す術も持たない。
だから、勝手な真似をしたのだと分かっている。
「がっかりさせたくないのよ」
「しねェよ」
「…マルコを」
「…」
小さくだが、ようやく口に出せた答えをエースがどう思ったのかは分からない。
反応が読めず、だからこれまで口に出来なかったのだ。
「そういう事か」
「…」
「成る程、これでようやく合点がいった」
「エース」
傷ついたエースの心が手に取るように見え、思わず名を呼ぶ。駄目な選択肢だ。
すぐに後悔したがどうにもならない。エースはそのまま部屋を出て行った。
マルコの事をどうこう思っているわけではない。只、失望されたくないと感じただけだ。
まるで水面のような彼の心に触れ、それまでの生き方を恥じた。
それでもエースとの全てを恥じたわけではないと、たったそれだけの詰まらない言い訳をする為にここへ来た。
口調だけは普段と変わらず、こちらに背を向けたままのエースは振り返らない。
「俺ァ今、取り込み中なんだ」
「そういう風には見えないけど」
「悪ぃが、一人にしてくれねェか」
「エース」
白ひげのマークが淋しく揺れている。二人で一緒に、こんな泥濘から抜け出そうと、要らない気遣いを抱く。
エースはきっと求めていない。大きな背に触れた途端、彼が振り向き、きつく抱き締められる。
一人にしないでくれと、口にしない彼は、まるで子供のように駄々をこね、ここにを縛り付ける。
2010/9/28(心と身体)
模倣坂心中
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