All I Want

きっと見破ってくれないでしょう

まさかの真剣な眼差しで胸元を弄り、これでもかと身を近づけたの真意は分からない。 ドアを開け、名を呼ぶ前の出来事だ。余りの素早さにこちらはまったく心構えが出来ていないまでも、 難なく両手を広げ迎えいれてしまった。どうした、だとか何があった、だとか。 そんな言葉はまったく出てこず、首筋を舐めるの舌先だとか、 窮屈に蠢く両腕を只、見つめている。こちらが何をせずとも彼女の両腕は服を肌蹴、 こちらの身を丸裸にしてくれるのだ。まるで全自動的なマスターベーション。何をするでもない。 彼女の指が性器を弄った。心はまだ準備出来ておらず、それでも身体は心を置き去りとっくに準備は完了した。 ふと見上げれば彼女の顔はまるで今にも泣き出しそうで、 そんな表情のまま身体だけが当たり前のように蠢いている。 何のつもりなのかはやはり分からないが、どうにも聞く気になれず、やはりされるがままになる。 こちらの到底埋まらない穴はともかく、彼女の身体に空いた穴は容易く埋まる。 指でもモノでも、何にでも。だから彼女はまったくロマンチックでないこんな床の上でエースを押し倒しているのだ。


「好きにしろよ、
「…」
「俺ァ、誰にも言わねェよ」


四肢を伸ばしたまま天上を見上げそう呟けば、の指先が止まった。 いや、ここまできて止められても仕方がねェし、お前が俺の事を好きだとか、 そういうのにもまったく興味が持てねェ。そんな事はどうでもいいじゃねェかと耳側で囁けばそうよね、 だなんて震える声で彼女が呟くものだから、何故だか酷く笑いたくなり、掌で口元を覆った。



2011/7/03(お前一体何があったの)

模倣坂心中