何故だろうか。
全てに理由が存在するとは思わない、
全てに理由付けをしたがる子供とは大差ない。
道理抜きで物事を整理するやり方が妥当だとも思わない。
間抜けなだけだ。
それにしても最近は
非常に無理ばかりしているとスモーカーは思い
やれやれ、このままじゃあ早死にしちまうぜと煙を吐き出した。
案外頭の中ではくだらない事を考えているものだ。
只誰か―この場合部下という位置づけになるのか。
そういう馴れ馴れしくも
下らない会話を楽しむキャラではない為
延々頭の中でくだらない事を思うしかなくなるのだ。
まあ、今に始まったものではない。
奴等が増徴し続けるこの現実に
ほとほと苛立ちを覚えるわけだ。
どうだろう。奴等に対する苛立ちなのだろうか。
深くは考えない、
真実が一つだとは限らないが
一つの真実を信じる分には問題が無い。
一番の問題は迷いを抱く事だ。
迷いは過ちを呼ぶ。過ちは後悔へと繋がる。


「―うん?」


今朝方からやけに周辺が騒がしかった理由が
今スモーカーの視線の先に現れている。
大将クラスの人間が訪れたらしい。
しかしスモーカーが呼ばれる事もないだろう。
あの男はそういう男だし
(そもそも用もないのに何をしに来たのだろう)
(それはこの島にいる各海軍の人間全てが思っている事だろう)
姿さえ見えていなければそれでいいのだ。
後はたしぎが騒がない事を祈るだけ。
青キジは毎度の如く面倒くさそうにプラプラと歩いている。


「有り得ないんだけどさァ」

「・・・!?」

「騒がないでよスモーカー、困るのはお互い様でしょ」

「手前・・・」


何をやってやがる。
心底呆れたスモーカーは
(それに伴い随分驚いたようだが
あえてそれを出さないという)の腕を振り払う。


「あんたに会いに来たんだけどさぁ」

「何だ?」

「何でいるのよ、あいつが」

「あぁ・・・」


スモーカーを盾にしながら
遥か遠くの青キジの様子を伺う。
酷く慣れなれしいこの女はベタベタと人様に触れるのだ。
少しだけ慣れた。


「手前を捜しに来たんじゃねェのか」

「何で」

「俺が知るか」

「出るに出れないじゃない、どの位いるわけ?」

「だから、」


俺に聞くなと言った辺りだろうか。
突如襲った重圧に気づく間もなかった。


「あらァ」


逃げ出そうとしたを青キジに差し出し
颯爽とその場を後にした。







姿を見せないという事は
は青キジに掴まっているのだろう(悪い意味ではなく)
何事もなく新しい朝を向かえたスモーカーは
やけに静まり返った雰囲気を察す。
は海軍を辞めた人間だ。
青キジらと対等な力を持った彼女が
何故唐突に海軍を辞めたのかは分からない。


「最近、頑張ってるらしいじゃないの」

「・・・」

がねェ、しっかし・・・」

「・・・」

「あぁ、」


あれは只の犬で、名も無き駒だから。
だから何の関係もないんだけど。
そう呟いたその後に
すぐ何かしら関係があるのかと訊いてきた青キジに
嘘が下手だと呟きかけたスモーカーは馬鹿らしいと笑う。
何で笑ったの、青キジがそう問えば何でもないと首を振った。



2006/12/25