違う、いやそうじゃあなくて。
そうじゃなくて、まあ何て言うのかねェ。
多分そうだとは思ってるんだけどねェ、少なくとも俺は。
いや、だからそうじゃねェって言ってるじゃねェか。
まあ、何れ。
何れな、どのくらい先の話になるかは見当もつかねェんだけど。
いやいや、俺は子供は好きだぜ。可愛いじゃねェの。
え?いや、だからそんな急ぐ事もねェだろ。
何れ、まだまだ先の話なんだよ。
兎も角俺は黒ひげとケリつけなきゃなんねェし、
他にも色々やる事があるんだよ。
いやいや。本当だぜ、信じろよ。
こんな俺でもいつかは
相応に落ち着いたりするんじゃねェかって思うわけ。
そんな時隣にお前がいたらいいじゃねェか。
え?首?いや、いや違うんだ
そうじゃねェ、そんなんじゃねェ。
コイツは単なる虫刺され―いやいや待てって、
?そう短気になるもんじゃねェぜ。
兎も角俺の話を、話を―
?あれ?どこ行った?









まったくくだらない、あれは最早妄想の息に達している。
そんな妄想を屈託なく口走るのがエースという男だ。
そうして真っ向からそれを訊かされる立場が
今日に至ってはわざわざ船から連れ出しての結果だ。
あの男はきっとどうかしている。


「あら、もういいの?

「ロビン」

「お話は途中だったんじゃない?」

「・・・聞いてたんでしょ」

「聞いてたんじゃないわ、聞こえてたのよ」


にっこりと笑いそう断言したロビンは笑っている。


「・・・何笑ってんの」

在る青年の妄執

「え?」

「名付けるならそんな感じ」

「笑えないんだけど」

「妄想なんかじゃなくて妄執って感じね」


好き勝手に口走るエースの行動と真意は毎度交錯している。
マトモに受け答える事がなくなった事実に
早く気づけと思いながらは溜息を吐き出した。



このエースは駄目だ・・・
でばがめロビン。
2006/12/25