ギシギシと軋む音が聞こえている。
何の音だろうと耳を澄ましていれば
それは自身の胸の奥から聞こえていて
その時ようやく胸の軋む音だったと気づく。
まあ気のせいの類だ。幻聴だろうか。分からない。


「おいおい・・・」
「勝手に入って来ないで」
「勘弁してくれよ、なぁ」


酷く息が荒いはガラス球のような目をしていた。
何かうつっているのだろうか、
うつっていたところで彼女は見てもいないに違いない。
兎も角ドフラミンゴはドアを開け中に入ってきた。
だからは途端に動きを止め彼を一瞥する。


「何」
「備品が壊れるだろうが」
「買いなおせばいいじゃない」


起伏の激しいは病的だ。
ドフラミンゴにしてみれば完全に精神病の類になる。
それでも飽きずに一緒にいるのは何かが惹きつけるからだ。
それが何かはまだ分からない。


「逢いに行っちまえ、面倒臭ぇ女だな」
「嫌われてる」
「うるせぇ」
「これ以上嫌われたくないのよ」
「青キジの奴は手前の事なんて覚えちゃいねぇ」
「どうしてそんなに酷い事を言うのよドフラミンゴ!!」


ガラスが盛大に割れる音と共に
余計な口を挟んでしまったと後悔を募らせたドフラミンゴは
悪ぃ悪ぃと心にも思っていない言葉を優しく吐き出す。
この厄介な女を上手に扱うには少々コツがいるわけだ。


「手前にそんなに愛されて、あいつも幸せだろうぜ」
「そうかしら」
「当然じゃねぇか、なぁ。明日辺り逢いに行きな」
「逢ってくれるかしら」
「邪魔だてする奴らなんて殺しちまえばいいだけの話だぜ」


我ながら無責任な発言をしていると思いながら
いざと顔を合わせた青キジの顔を思い浮かべる。


「・・・花でも、持って行きな」


そうはいっても悲鳴を孕む愛なんかに
何の効果もない事くらいドフラミンゴにも分かっていた。



青キジのストーカーなのか?
ドフラミンゴと一緒に暮らす主人公。
何だか生活が普通過ぎる。
世話好きのいいお兄ちゃんか(そんな馬鹿な)
2007/1/18