上手く使われたのだろうとサンジは思っている。
まあそんな事よりもこれから目前で開催される(恐らく悪趣味であろう)
ショーはどんな趣向なのだろう、そちらの方に興味はあるわけだ。
恐ろしく目を背けるだろうか。逃げ出す事は出来ない。何
故ならサンジの腕はきつく、きつく拘束されているものだから。
何故こんな事になってしまったのだろうか。
低く重い音と共にエースが殴り倒されている。
そんな光景をぼんやりと見つめながらサンジはタバコを吸いたいなあ、そんな事を思っていた。









その日は兎に角おかしな事ばかりが続いていたのだ。
そもそもがサンジを誘った時点で現実とブレが生じていた。
それでも断らず付き合った理由は一つ、単に興味があったから他ならない。
要は後先考えない興味とやらがサンジ自身の身を危険に晒すに至ったわけだ。
それでも後悔は。には目的があったようで
何かとサンジに対し他愛もない会話を振りながら足取りは迷わない。
辿り着いたのが余り新しくないモーテルだなんて出来すぎた話だと思った。
それと同時にこれは罠だと気づいたにも関わらず飛び込んだ理由はやはり興味があったから。
死んでもおかしくない。
そうして辿り着いた部屋、無言のと無粋な雰囲気。
気づいた時にはサンジは拘束されていたしエースは殴打されていた。


「・・・やれやれ、」
「・・・」
「そんなに俺が好きかい、


血の混じった唾液を吐き捨てながらエースが呟く。
エースと共にいた女の姿は既にない。
はそれこそ今まで見た事のないような顔で、
やけに無表情のままエースを見下ろしていた。


「ずーっと同じ事の繰り返し、あんた学習能力ないの?」
「悪ぃな、治りゃしねぇんだ」
「その癖殴られっぱなしって何なわけ」
「反省はしてるのさ」


エースは目を逸らさない。決して。


「同じ事の繰り返しって凄く疲れるのよエース」
「あぁ」
「もう終わりにしたいのよね」


でもあんたを自由になんてしてあげない。


「もう諦めな、


俺が世界で一番愛してるのはお前だけだ、だっただろうか。
その刹那鳴り響いた銃声と消えるエースの姿。
稀代の粛清に花ぞ哭く
又逃げやがって、そう叫んだの声は酷く悲しげでサンジはを見つめる。
は泣いていた。子供のようにとはまさにこの事だとサンジは思う。


―迷惑かけちまって、すまねぇな


僅かな熱気と共に拘束していた縄が焼切れ思わず振り向けどもそこには壁しかない。
泣き崩れたに近づこうか、どうしようかと迷ったサンジは
かける言葉も見つからない現状に気づきタバコを吸う事にした。
僅か指先が震えていたのは何故だろう。
目の前の女が余りにも哀れだったからだろうか。



浮気がばれたエースver
何か、酷い事に。サンジの意味は?
2007/1/18