ヤっている最中にふと視線を感じたのが仕舞いだった。
暗がりの中の眼差しだけが浮かび上がっていた。
汗だろうか、何だろう。
兎に角喉を鳴らし唾液を飲み込んだスモーカーは
慟哭に気づかれないよう口付けた。
心を見透かされる事が好きではないからだ。
嫌いだから。その理由は告げなくとも。

悪い餌はやけに魅力的にうつるもので自己弁護さえ完了すれば迷いはなくなる。
スモーカーはそれをし終えたわけだ。他に何も迷う事はないではないか。
という女の生き様を垣間見、そうして知りえただけだ。


「・・・嘘でしょう、スモーカー」
「何がだ」
「あたしを愛してるっていうのは嘘でしょう」


あんたは単にあいつに勝ちたかっただけでしょう。
は確かにそう言ったし、彼女のその言葉に偽りは一切なかった。
彼女は真実だけを伝えた。

只スモーカーがそれを認めなかっただけであり、
スモーカーが認めなければ彼女は彼女でスモーカーの言葉を信じる他ないわけだ。
それでも嘘と知っていた。


「どの道いつまでも一緒にいられねぇ」
「そうね」
「だから」


何だ。だから何だと言うのだろう。
だから体だけを絡ませ消費させるとでもいうのか。
そうしてはそんな理由を許すのか。


「嬉しかった?」


あいつに勝てて。
の言葉をそれ以上聞きたくなかったスモーカーは又口付け貪る。
純粋を喰らうもの、それは。
それは己の汚い独占欲だと知ってはいたのだ。
だからを喰らう。欠片も残らないだろう。



あたしはスモーカーが物凄く好きなんですよね(弁護?)
これは・・・あの、ちょい悪スモーカーを書きたく、
尚且つ玉砕、みたいな。ああ・・・。
若かりし頃のスモーカー。。
2007/1/25