やたら軽いフットワークで動き回るサンジをベッドから見ている。
喉が渇いたといえば何かしら持って来るし
腹が減ったと言えども結果は同じだ。
そんなサンジに対し感謝の気持ちが欠片もない。
サンジにしても誠意なんて欠片もないのだから同罪だと思った。

サンジは誰と比較しても勝てる程甘い、淡い言葉を使用する。
甘え方さえ熟知し相手の自尊心を擽るやり方を得意とする。
誰もが彼を愛さずにいられないだろう。

皆相手の心なんてものを必死に求める割に表面だけに目がいくものだから、
だからサンジは笑うのだ。実際問題心なんて要らないと。

「俺って随分不幸だよなぁ」

「何よ、それ」
「あんたなにかに入れ込んでる場合じゃあないってのに」
「あんただけじゃないでしょ」


それは。
そう。それはも同じだ。
うつくしかった青い春はもう来ないので、
そう続けたサンジはこれもあんたと同じだけどと笑う。
心を求めない理由は満たされないからだ。
満たされなければ果てがない。果てがなければ只々飢え続けるだけだ。
そんな繰り返しはとても苦しくつまらないものだから利口なあの男は止めただけの話。


「何?本当に好きな奴相手には何もしないとか?」
「さぁ、大事にするけど」
「見つかりっこないわ、あんたなんかに」
「俺もそう思ってる」


だから、うつくしかった青い春はもう来ないのだ。



だからどうしたと言われればそれまでなんですが。
2007/1/25