「あんた・・・何やってるのよ」
「行こう、
「いや、いやいやそうじゃなくて」
「最果てへ向かうのだ」
「・・・何を言ってるの?」


唐突に届けられた速達には○月△日の午後二時丁度、
とある都市にある最も高いビルの上に立っていろという
途方もない内容が書き記されており、
こんな文面を名もなしに送りつける不届き者は一人しか心当たりがなかったわけだ。
まあ丁度も暇を持て余していた為暇つぶしがてらそこへ出向いた。

青々と透き通った空は果てなく続き風が心地いいと思っていれば
空からスルスルと一本のロープが落ちてくる。蜘蛛の糸かと思った。
しかしそれが蜘蛛の糸ならば今がいる世界は地獄という事になるわけだ。
目の前にまで落ちてきたロープは突然止まる。
いぶかしんだが片手でそれを掴んだ瞬間だ。


「なっ!!」


信じられない程の速さでロープが引かれの足が宙に浮く。
わけが分からないまま(それでもこのまま落下してしまえば
死んでしまうという事くらいは分かった)
必死にロープへしがみつけば雲の中に吸い込まれた。


「あんた・・・確か空の島で神様の真似事とかやってなかった?」
「何を言う。私は神だ」
「うん?あぁ・・・ちょっと言い方マズったわ」
「この船で向かうのだ」
「空の島はどうしたのよ」
「捨て置いた」
「ん?あんた、怪我してるじゃない」
「何の話だ」
「ほら、ここ」
「!」


どうやら非常に無理をしていたらしいエネルは
悶絶の表情を浮かべたまま動きを止める。


「あ、ごめん。そんなに痛かったの?」
「神は痛み等感じぬ」
「お腹減ったんじゃないの?何か作れるわけ、この船で」
「おお、そうだ!、貴様が作り私が食そう」
「どこよ、キッチン」


痛む体を引きずりながらこっちがキッチンだと案内をするエネルを見ながら
淋しかったのだろうか、等とどうでもいい事を考える。
この男は一人ぼっちで何をしているのだろうとも思い、
そういえばこれから先自分も付き合わなければならないのかと思えば笑えた。
これが、神さまの落下速度だ。



ツンデレ、エネル
2007/1/30