何が間違っていたのだろうか。
何か一つでも間違いを犯したのだろうか。
そんな事を、考えたところで何の答えも出はしない事を考えていた。
ずっとだ。

逃げ続ける生活は命を削る。
あの男から逃げ切る事が出来るのか。
果たして。前例がない為分からないのだが
少しでも僅かでも希望を失いたくなくは逃げ続けている。
姿形をまるで変えたところで何の効果もない。
恐らく匂いで嗅ぎ分けるのだろう。

雑踏に紛れながらどうにか生きる。
息を潜め日が落ちてから活動を再開する。
死んでいるようなものだ。
二つくらい海を跨げば逃げ切る事が出来るかも知れない。
やはりどんな場合にも希望は浮かぶ。


「・・・よぉ」
「・・・」
「そんなに怯える事はない」
「・・・」
「どの道お前は逃げられない」


叫ぶ事も出来ずもう駄目だと思った瞬間目が覚める。
全身に嫌な汗をかき動悸が止まらず恐る恐る目を開けた
そこが見慣れた部屋だと知り安堵した。
震える指を一度噛み枕元に置いてあったタバコを取ろうとした、その時だ。

目の前に赤い火が灯る。暗闇の中紫煙が緩々と昇った。


「タバコは止めるんだな、
「あぁ・・・」
「体に障る」


鳩が一度だけ鳴き侵入者の有無を知らす。
夢ではなかったのだ。


「何で―」
「負担をかけるな」
「ルッチ」
「そして俺に手をかけさせるな」


心配するだろうと呟いたルッチはベッドに座りの腹を撫でる。
未だ反応が出来ないは呆然と闇を見つめるだけだ。


さて、臨月の腹には何が宿る?



は、初ルッチだよ!
むしろ初CP9だよ!
こんな役回りでゴメンね!
2007/1/30