「・・・又、」


誰を見てやがるんだと呟いたドフラミンゴは
ふう、と一息小さな溜め息を吐き出した。
日も暮れ夜半過ぎにもなればこの辺りは
まるでゴーストタウンさながらの静けさを纏う。

この女を連れ世界の果てまで辿り着きはしたものの
空というヤツはどこまでも同じ姿をだらしなく見せ付けているもので、
だからだろうか。は空を見つめている。
そんなの姿がとても堪らずドフラミンゴがカーテンを閉め
彼女を床に押し倒したところで何も変わらない。
は空を恋しがるわけでもなくドフラミンゴを嫌がるわけでもなく
只そのままそこにいる。心はないのだろう。

からっぽの人形は心臓を持たない
心がないのだからこれはたった一人でここに来たのと同じだと考える。
そんなつもりではなかったのに。


「・・・なぁ、
「何?」
「手前は今、どこにいやがる・・・」


は柔らかな表情を決して崩す事なくこちらを見ている。
ドフラミンゴを見ている。
深く、果てない瞳をじっと見つめていれば脱力感に苛まれる。如何して。


「後悔してやがるのか、手前は」
「してないわ」
「何を―」


何を言ってやがる。
の細い肩を抱き締めているドフラミンゴの指に力が込められる。
語尾が震えているのだろうか。分からない。分かりたくはない。
の表情には一片の曇りもないのだ。
何故。心はどこにある。


「俺は」
「どうしたのよ」
「何?」
「泣き出しそうな顔をして」


の声は酷く優しくドフラミンゴは唇を噛んだ。
を知り彼女の姿を追い彼女を求め
そうして今に至るというのにどうして彼女はここにいないのだろう。
全てを失くしてでも手に入れたいと願ったにも係わらず、
今更捨てる事が不可能だと知ったからか。
捨てられる程安易なものではなかった。
力を持てばそれは強靭になる。捨てずとも残る。自分は飾りだろうか。


「手前が欲しかっただけだぜ」
「嬉しいわ」
「ちっとも、」


手応えがねぇ。
そう呟いたドフラミンゴはの身体に爪をたてる。
傷跡は残っても所詮身体にだ。心には届かない。


珍しく(多分初っぽい)ドフラミンゴが恋焦がれるというパターンですな。
ネット開通まで尋常じゃない期間が経過してやがりまして、
開通の際には迷惑な程度にはまとめて更新しようと目論んでました。
痒いところに手が届かない話。
2007/3/18