「・・・あら」
「・・・」


最悪な場面で最悪な女と最悪な遭遇を果たしてしまったと思い小さく舌打ちをした。
聞こえないようにしたつもりが彼女には完全に聞こえてしまっていたらしい。
相も変わらず耳のいい女だと思った。悪運も強い。


「何シカトしてるのよあんた」
「こいつは、久方ぶりの再会じゃねぇか
「引きつってるわよ、あんた」


顔。そう言い笑ったはやれやれと首を振り人払いをした。
彼女の周囲には昔も今も山ほどの人々が存在する。
まあそれはドフラミンゴも同じであり今更な話でもあるわけだ。
肌の露出は年を喰っても変わらねぇのか、そう言えばジロリと一瞥を食らう。


「相変わらずね、話は耳にしてるわよ」
「そいつはいい話だろうな」
「相変わらず、って言ったでしょ」


珍しいグリーンの光沢を纏ったロングドレス、
ゴールドのラインストーンのアクセサリー。
まああの頃より幾分か大人しくなったのだろうか。
たまたま今の彼女の気分がそういうものなのかも知れない。
勘繰る必要はないだろう。







結局あたしはあんたを殺せばいいんじゃないのかしら。
だなんて呟いたは恐らく醒めていなかったのだ。
悪いもの、諸々から。
そうしてそれはドフラミンゴまでも容易く飲み込んだ。
発信源がどちらかなのかは分からない。


日がな暇さえあればセックスの繰り返し。
若さを、生きる術を失くしてしまいたいと呟きながらの繰り返し。
途中混じるアルコール、ドラッグ。それによる幻覚、幻想、吐き気。
床から浮かび宙を歩く感触。


快感だとか何だとか、そんなものはとうに得たのだ。
そんなものを得たいわけではない。
快感はついて回るだけでありこの簡単な身体はどんな経緯であれそれを得る事が出来る。
だからその先を欲した。何があるのかは分からずに。


「・・・ちょっと」
「何だよ」
「流石に、痛い」


擦れて。そう言い互いに笑う。
そうしてドフラミンゴも同じだと言い、又笑った。
食欲はてんで湧かず消耗する身体を放置した。
まあそのまま死んでもいいとさえ思っていたから。


「どうすんのよ、ねぇ」
「何がだよ」
「あんた、多分もうじき七武海入りするわよ」
「興味ねぇな」
「嘘吐きね」


いつも詰まらない嘘を吐く。







「・・・ねぇ」


もう二度と愛さないのであろう眼差しで見つめられながらふと思い出す。
俗にいう古い過ちとやらを。否あれは。単なる幼稚な心中劇だ。


何だか最近兎に角ドフラミンゴを書いている。
むしろ海賊内で最も多いのがドフラミンゴになってきてる。
・・・どうする?
2007/3/30