馬鹿馬鹿しいとは思いながらも、それでも捨てきる事が出来なかった。
だから招いた結果なのだ。誰も責める事は出来ない。
が泣いたあの日、いやあの瞬間だけでも構わない。
何故待てなかったのだろう。彼女の言葉を。
必要はないと驕っていたからだ。自分には必要のないものだと。


それでは何故求めたのか。
存在の理由を作ってしまえれば処理に困る事もない。だからだ。
職務を全うする事だけ考えている。
だからを閉じ込めた。他に意識を殺がれない為に。
そうしてそれが何よりも正しいやり方だと思っていた。
命を奪う行為が好きだからだ。昔から、幼い頃から。
それを生きがいとして生きてきた。


「・・・それにしても今日は気が滅入る日でな」


は何故泣いたのだろう。まずそれを考えていた。
理由が分からない、意味も分からない。只彼女は泣いていた。
出て行く気がした。ここを離れ、自分の元を離れる気がした。
こちらの理由としてはそれだ。恐れはしなかった。


「コイツだって一声も鳴きやしない」


今まで感じた事はなかったからだ。心の動揺など。


「お前が笑わないからかな」


バスルームで入水まがいの考察
を浸けたバスタブの縁に座り込んでだ。
彼女は色は白く、白く。もう生きていないからだ。
ルッチが殺した。逃がさない為に。
腐らないよう処置を施した。全て自分で行った、満足のいく出来だ。


ごめん、本当ごめんルッチ。
何かもうこういう設定かと。
2007/5/20