死亡予定時刻が参りました

   不思議なくらい気に入られたものだと我ながら思う。ポムフィオーレ寮長であるヴィルは事あるごとにを可愛がり、あれやこれやと世話を焼いてくれるわけで、この世界に来てからというもの、お肌の調子はうなぎ上りだし元の世界では自腹で(当然だけれども)通っていたネイルもエステもヴィル経由で受ける事が出来ている。所謂インフルエンサーとこんなにお近づきになる事はなくて影響力に驚くばかりだ。

ヴィルは美意識が高く、初めて顔を合わせた時にも制服のサイズが合っていない!と詰め寄られ(それもそのはずだ、学園長から渡された最も小さなサイズの制服を着ているだけだったのだから)そのままポムフィオーレ寮へと連行された。

が女性だという事は何となくみんな知っていて、だけれどその事に初めて言及してきたのもヴィルが最初だったと記憶している。あんた、もっと自分を磨きなさい。ヴィルは事あるごとにそう言い、肌の整え方や体幹の鍛え方を教えてくれる。日曜の午前中にバレエを習うようにもなった。

この学園に来てからというもの、当初は男装を貫くべきなのだろうと無駄に力が入っていたのだけれど、このヴィルと一緒の時はそんな事を気にせずにいられる。彼は男だと頭では理解しているのだけれど、気は楽だった。

錬金術で作るとある秘薬が必要となり、ヴィルにご教授願っていたところ植物園に生息している青い蝶が原材料として必須という事が分かった。すぐに捕まえて来ますと部屋を飛び出し植物園へ向かう。相変わらず管理人は不在で、蝶の生息地は自ら捜さねばならないようだ。ゆっくりと植物園内を歩き回っていれば、奥まった場所で昼寝中のレオナを見つけた。そんなレオナと共に課題に必要な蝶もだ。蝶はレオナの耳にとまっていた。

息を飲んで捕まえようと四足でゆっくりと近づくも腕を伸ばした瞬間に、反射的に目覚めたレオナに組み敷かれた。咄嗟の出来事に驚きつつも、私ですよ、すいません、そう返すが様子がおかしい。瞳孔が開いている?



「…バカが、飛び込んできやがって」
「え?」
「だから草食動物は」
「え?」



レオナの手のひらが顔を覆った。続いて首筋に噛みつかれそのまま吸い付くように舐め上げる。レオナの舌はとてもザラザラとしていて、触れる度に背筋がゾクゾクするような感覚に襲われる。



「嫌だ、やめて」
「この時期に近づいたお前が悪ぃ」
「この時期って」



レオナの指先はとても器用にの身体を這いまわる。気づいた時にはブラウスのボタンは全て外されていたし、ブラのホックも外れていた。

この時期。レオナの言葉でふと思い出す。アンタ、今のこの時期、サバナクローには絶対に近づくんじゃないわよ。確かにヴィルはそう言っていたのではなかったか。

レオナの舌が胸の谷間を舐め上げ、ぐっと乳房を掴んだ。そのままゆっくりと顔を近づける。思わずじっと見つめてしまったの目を見ながら赤い舌を尖らせ、ツツ、と乳房を舐める。グリーンの目はこちらをジッと見つめたまま。ドクドクと心臓の鼓動は早まりそれでも目が離せない。

乳房を掴むレオナの指先にギュッと力が入り、待ち構えたように舌先が乳首に触れた。その瞬間襲う、酷く甘い感触に思わず声が漏れそうになる。どうにか飲み込み堪えたを嬲る様に今度は唇で吸い付く。先程とは段違いの気持ちよさに我慢が利かなくなり、小さく声を漏らした。レオナのざらついた舌は固くなった乳首を舐め、歯で甘噛みする。その度に身体だけビクつかせるは目を閉じ必死に堪えているようだ。その様子に益々興奮する。

この時期、サバナクロー寮は発情の時期に入る。そう長い期間ではない為、専用の魔法薬で抑える事になるのだが、投与のタイミングさえ怠惰で逃した結果がこれだ。雌の匂いをプンプンさせながら近づいて来た草食動物など、一発で喰われる。

制服のズボンを脱がせそのまま下着も剥ぎ取る。は多少抵抗のような真似を見せたが、そのまま口付け舌で舌を追いまわせば意識はそちらに向かい抗う術を失った。指先で振れただけでも十二分に濡れている事は分かったが、こちらは生憎発情期の獣だ。この程度では到底満足出来ない。指先でぐちゅぐちゅと入口付近をほぐし様子を伺う。唇から解放されたはすっかり抵抗する力を奪われ、レオナの胸に顔を埋めビクビクと身体を震わせるだけだ。

入口付近ばかりを弄られもどかしいのだろう。自ら腰を動かし始めた。頃合いだと指を抜き、の口に突っ込み舐めさせた後、自身の性器へ誘導した。木の根元に首から上だけもたれかかったレオナを跨ぐような体制で性器を握る。目の前に映るの性器は当然ながらひくひくともの欲しそうに蠢いている。おずおずとレオナの性器を舐め、口に含んだ段階での腰を掴み、一滴も残さぬよう舐めまわした。



「ん!んんー!!!」



肉を割り煮えたぎる程熱い体内を舌で犯し、体液を啜る、の腰が右へ左へと動くがしっかりと掴んでいる為、逃れる事が出来ない。たどたどしいまでも、襲う快感のせいでも反射的にレオナの性器に吸い付く事となり、それはそれで気持ちがいい。

ある程度舐めまわした後は一本、二本と指を挿れ、深く浅く、ぐちゅぐちゅと弄り回す。すぐに指は体液塗れになり、動かす度に性器から垂れ流されるようになった。目の前でテラテラと光るそれ。赤く大きく腫れたクリトリスにちゅう、と吸い付き指の動きを速める。舌先で転がす事が出来る程、大きく膨らんだクリトリスを舌先でコロコロと転がし、時折舌のざらついた部分でベロリと舐め上げればは大きな喘ぎ声を上げた。

レオナの性器はとっくに吐き出し、単に地面に突っ伏し喘ぐだけだ。クリトリスに刺激を与える度に指二本が痛い程の強さで締め付けられる。暫くそのまま楽しみ、がイク寸前に指を抜いた。赤く充血した肉はひくひくと痙攣を繰り返している。



「やぁ…何で」
「俺も楽しませろよ、
「!」



そのままの腰を押さえ、後背位で一気に貫いた。準備は十二分に行っていたので抵抗なく挿入された。最初から激しいピストンでとりあえず一度目の射精をし、そのまま二度、三度と繰り返す。ライオンの特性だ。発情期には立て続けに何度でも射精出来る。とりあえず己の中のどうしようもない欲望を一気に吐き出した。

三度目くらいでこちらは余裕が出て来たが、は息も絶え絶えとなっていた。体位を変え、正常位にする。散々感じたはすっかりセックスに没入しており、レオナの背に腕を回し無我夢中に喘いでいる。もう何が何だかよく分かっていないのだろうに唇を求め、毎秒毎に感じているような状態だ。

そんなの姿を木々の間から食い入るように見つめている人物がいた。戻りの遅いを心配し植物園を訪れていたヴィルだ。まさかと思っていたが、本当にこんな事になっているだなんて。血の気が引くっていうのはまさにこの事ね。普段から猫っ可愛がりしているがレオナの背に手を回し鼻にかかる甘えた声を上げている。そんな、女の姿。アタシは見た事がない。

この時期のサバナクローは発情期に入るから近づくなと言っていたのに、という思い。そんな男に汚されて、犯されて、先を越されて!

声がでけぇよと指先を口の中に入れられたまま喘ぐがそこにはいた。肉食獣に捕獲された哀れな草食獣の末路。



「…毒の匂いがしやがる」



情事後、スッキリとした顔のレオナがポツリと呟く。ライオンのオスは絶倫だ。この段階で5回は射精している。全て中で出したが問題はない。小さな声で呪文を唱える。そんなレオナの隣、息も絶え絶えのが薄っすらと開いた目には青い蝶がうつっていた。