敵意と優しさを重ね合わせ

   場所はクルーウェルの自室に移る。クルーウェルの毛皮の中に隠れこっそりとこの部屋までやって来た。中に入ってすぐにクルーウェルはお前の為だと笑い防音の魔法をかけた。これでどれだけ鳴いてもいい、そう言われた。

ロッキングチェアーに座ったクルーウェルの足元にしゃがみ込んだは全裸の状態で必死に咥えている。咥えさせているクルーウェルも全裸に毛皮を羽織っている状態だ。咥えさせながら鞭の先での背を撫で尻を嬲り続けている。

彼女のアナルにはプラグが入っている。お仕置きだ、と告げたクルーウェルにグリセリン液を大量に注入された為だ。すぐにアナルプラグを挿入され、オレがよしというまで咥えているんだと告げられる。グリセリン液に満たされた直腸はぐるぐると動き今にも漏れそうだ。



「オレは優しいからな、ちゃんと開発してやる」



裸のの乳房、乳首をムチで撫でる。苦しそうな表情のまま咥えたままのはそれでも身を震わせた。数分そのままだったか、時間を見てトイレへ行けと促す。終わったらビデでキレイに流せよと告げた。

よたよたとトイレへ向かうを見送り音楽をかける。久々の初物に胸が躍る。やはり仔犬の調教は楽しい―――――

その時のスマホが鳴った。手を伸ばし画面を見る。着信相手はヴィル・シェーンハイト。



「もしもし」
「やあ、シェーンハイト」
「!!」
「ショーは順調か?」
「どうして先生が…」
「仔犬の世話は任せろと言っただろう?」
「!!!」



トイレからが出て来る気配を感じ、一方的に通話を切った。すぐに再度着信があるが、マナーにしている。音もバイブも鳴らない。スマホを裏返し光さえ漏れないようにした。



「さて、始めようか」



クルーウェルの手には、器具が握られていた。









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クルーウェルを跨ぎ四つん這いの格好をさせられているは、ローションをたっぷりつけた指先でアナル周辺をなぞられている。



「ここを使う時にはな、まず事前準備が必要になる」



ツ、と指先が入りこみ第一関節で止まる。



「力を抜け」
「んんぅ…」



指先をくにくにと動かせばが切なそうに腰をくねらせ、アナルはクルーウェルの指を易々と受け入れた。



「どうだ?気持ちがいいだろう?」
「ぁあ…」
「お前は中々飲み込みが早い、教え甲斐がある」



指を二本、アナル内で広げる。突起で塞がれ疼きだけが残される膣の奥が圧迫され膝の力が抜ける。それでも足りない。クルーウェルはアナルは弄るがクリトリスは一切触らない。そっと指を伸ばした。自身の愛液が垂れヌルヌルになったそこに指先が触れた瞬間だ。



「誰が触っていいと言った?」



クルーウェルに咎められた。



「オレの許しもなくそんな真似をするなど、そんな駄犬にはお仕置きが必要だな」



指が抜かれ、そのまま後ろ手に拘束される。身動きが取れない。今度は何をされるのか不安で仕方がない。



「ぁ…ヤダ」
「お仕置きだ、駄犬」
「ヤダ、許し…」



クルーウェルが手にしたのは先細りのアナルビーズで、彼はの目の前でそれにローションを垂らしてみせた。力を抜けと言われゆっくりと挿入される。小さい呻き声のような溜息の中に、鼻にかかるような甘い声が混じっている事を見逃さなかった。

全部挿入し、ゆっくりと出し入れをする。の腰は勝手に動き、排泄感を伴う激しい感覚に我を忘れ声を上げてよがり出す。



「お前はココでイくんだ」
「ぁあぁぁぁ…はぃぃ…」



初めての感覚にもう意識が保てない。何故ここでこんなにも感じているのかが分からず、そもそも何故クルーウェルとこんな事になっているのかも分からず、まるで現実味がない。いや、現実味など。ヴィルが学園を離れてからずっとない。

自分でもわかるほど性器がひくひくと動き気が狂いそうだ。連日、ちゃんとイキたいがイケない。ヴィルはこういうやり方を好む。それに歯向かいもせず従っているこちらもどうかしている。心が持ち出されている事にはとっくに気づいている。もう何も考えられない。脳が、犯されて―――――



「どうした、仔犬。気が狂いそうか?」
「イかせてください…」



小さく吐き出せば、クルーウェルが後ろ手に拘束されている手首を掴んだ。バックでゆっくりと挿入する。感じ過ぎて力の抜けた身体は一切の抵抗を見せず、挿入の際に痛みはなかった。ぞわぞわと這いまわるような感触に無意識に呻いていた。



「イキたいか?」
「は、はぃぃ…」
「だがそれは無理な話だ」
「やぁ、なんでぇ」
「そもそもお前は、シェーンハイトにココを塞がれている」



よほどご執心らしいと呟き、指先で体内に収納されている突起をコンコンと叩く。



「オレは飼い主不在時に世話をしてやるだけだ、他の駄犬に犯されないようにな」
「やだぁ、触ってぇ…」



雌犬は既に正気でなく、半泣きで懇願する。お預け状態が余程堪えているらしい。その声に酷く興奮する。シェーンハイトの美的感覚はオレとよく似ている。その点でいえば、に対する調教は満足のいく出来に仕上がっている。

恥じらいは捨てきれず、それでも耐え切れない。無意識に零れる涙に気づく事もなく、浅ましく快楽を求める。その様が余りにも劣情を擽る。



「…まったく、躾のなってない雌犬だ」



図らずも興奮している自身に失笑だ。バックで突きながら唾液をつけた指先を伸ばし、クリトリスを挟む。突然の強い快楽に驚き、無意識に逃げようと動くを背後から抱き身動きをさせないままクリクリと弄れば、背をエビ空せたが幾度も達した。

達する度に括約筋が痛い程締め付けられる。室内にはの悲鳴にも似た喘ぎ声が木霊し、このまま壊してやろうかと、よくない思いに侵されかけた、その時だ。



「先生」



ドアがノックされ、急激に醒めた。助かったというところだろう。声の主はヴィル・シェーンハイトであり、どうやら彼の声にも覚醒したらしい。どう取り繕っても言い逃れのできない状況だ。挿入したまま動揺しているを抱え上げ背面座位の状態にする。こちらの意図に気づいたが顔を背ける。逃げる事は出来ないのだと諦めたようだ。



「中に入れ」
「失礼します」



ドアが開きヴィルが入って来る。



「どういう事ですか」
「雌犬が淫猥なフェロモンを学園内に撒き散らしていたんでね、生活指導だ」



お前のコレのせいだろう?そう言い、透明な突起を指先で叩く。顔を両手で隠しているの表情は見えない。見えないが、突起を加えた穴は物欲しげにうねっているし、その下にあるはずのもう一つの穴には別のものが埋まっている。

部屋に入り暫く無言だったヴィルは、仕方ないですね、とため息を吐き、今回だけですよと返した。



「お前の指導が行き届いていればオレも手は出さないさ」
「どうだか」
「機嫌を損ねたか」
「そりゃそうでしょ、こんな」
「そう言うな」
「先生だって楽しんでたみたいだけど」



仲良さげに喋りながらクルーウェルがを抱え立ち上がった。ヴィルがの顔を上げさせる。



「どういう事かわかる?」
「ぁ…」
「アンタがどうしようもない淫乱って事」



唇すれすれの位置でそう囁いたヴィルが、透明な突起をずるりと抜いた。体内から熱い滴りが噴き出し、床を濡らした。が喘ぐ間もなく待ち焦がれた瞬間の到来だ。ヴィルの性器がこの数日ジクジクと疼くばかりだった深い場所に到達する。前後の穴を塞がれたサンドイッチ状態だ。



「なにこれ、ドッロドロで熱くて…アンタどれだけ感じてたのよ」
「…!は、ぁあああ!!」



ヴィルにしがみ付き、後はもう喘ぐだけで呼吸さえも困難だ。ここまできたら何をしてもはイくだけなのだし、後はこちらが発散するだけだ。



「合格だ、駄犬共」



そう呟いたクルーウェルが先に達し、すぐ後にヴィルも続いた。









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言い合いの声で目が覚めた。どうやら眠ってしまっていたらしい。場所は変わらずクルーウェルの自室で、散々と痴態を繰り広げたソファーに横たわっていた。全身がありえないほど疲労困憊しており、相変わらず頭は回らない状態だ。

薄っすらと目を開けば既に服を着たクルーウェルとヴィルがああだこうだと言い合いをしていた。ヴィルがこれはやり過ぎだと言えば、それはお前も同じだろうとクルーウェルが笑う。あんなにもの欲しそうな顔をしていれば、何れどこぞの駄犬に喰われていたさ。丁度その辺りで覚醒した。



「起きたのね」
「あ…」
「帰るわよ」



早く着替えてと言うヴィルに急かされ、急いで服を着るも、どこを探しても下着がない。止む無しにそのまま服を着た。クルーウェルがこちらを見ていた辺り、何かあるのだろうが聞く気にはなれなかった。



「待て、仔犬」
「え」
「行くわよ、
「お前は愛されているのか?」
「ちょっ」
「こんな事をされて、お前はどう思ってるんだ」



わからないと返す前に唇を塞がれた。これだけ身を重ねながら口付けた回数は数える程で、それこそ最中に気分が昂った時くらいしかない。唇が離れた瞬間、こちらを見つめるヴィルの眼差し。一体、何を考えて、



「それがお前の答えか」
「…行くわよ、
「…」
「まあ、いいさ」



その青さも悪くはない。そう言ったクルーウェルの言葉の真意は掴めない。先程の口付けの意味も、こちらを掴んで離さないヴィルの右手の意味もだ。ヴィルは振り返らないし何も喋らない。掴まれた手首は焼ける様に熱かった。