にじり寄る悪魔の囁き声

  
「な、何ですか!?」
「随分興奮なさったようですねぇ、さん」
「や、やだちょっと、」
「人の女性は性的興奮を覚えると愛液と呼ばれる透明な体液を排出する、と文献には書いてあったのですが、本当だったようですね」



ツツ、と指先で割れ目をなぞる。



「性的興奮が高ぶれば高ぶるほど、この上部についている陰核と呼ばれる部分が充血し肥大する」



指先が今度はクリトリスに触れた。が喘ぐ。



「尚、膣口への挿入は十二分にほぐれた状態でないと痛みを生じる―――――」



もう十分でしょう、と呟き指先を膣に挿入した。中に侵入して来た指は長い。



「おお、これは新感覚ですね。熱い。それなのにひだひだが全体で指を締め付けぬるぬると動く」



アイマスクを取り身を起こし、女の動きを止めたいのだが感じてしまいそれどころではない。好き勝手に弄られ感じていれば女の全身がぼんやりと光り姿が変わった。

ジェイド。
ジェイド・リーチ。



「あっ、あっ、何で、」
「授業で丁度、習ったんですよ。変身薬を」



指が増やされ前後に動かされる。



「ほら、我々人の性行って知らないじゃないですか。人魚なので。思春期ですし興味もあったんですよね」



おかまいなしに喋り続けるジェイドは、決しての体内を弄る手は止めない。別に彼女が話を聞いていようがいまいが関係はないようだ。その証拠に既には軽く幾度かイっており、四肢に力を入れ堪えている。当然、話など聞こえてもいないだろう。



「丁度あなたがいらっしゃるという事で、教えて頂こうと思いまして」



を背後から抱えるようにしてジェイドが座った。耳を舐めながら乳房を弄ぶ。



「私の性器も随分と膨張してきました、ほら」



そう言いながら触らせる。熱く脈打つそれ。



「ヤダやめて…」
「どうして?こんなに感じているのに?」



譫言のように呟くの体内に指先を埋め、くの字に曲げる。そのまま押し上げるようにスライドさせる。ぐっと下腹に力が入り腰が震えた。両手で口を押さえ必死に声を殺す。

又、ヴィルたちの声が聞こえた。オープン予定日の話をしている。近づく足音。こみ上げる何か。



「…!!!」



カーテンが引かれた瞬間、ジェイドの指が抜かれ大量の潮を吹き出された。の腰が激しく痙攣し、ジェイドに全身もたれかかる。



「やはりGスポットという場所は存在するんですねぇ。まさかこんなに吹くものだとは思いませんでした」



ねぇ、アズール。



「ジェイドあなた、何をやってるんですか」
「人体実験ですよ」
「我々とはそんなにも違いましたか、人の身体は」
「ええ、随分面白いものだなと」
「そうですか、それは結構」



潮で濡れた眼鏡を拭きながらアズールが言う。



「ではさんには今日一日ご奉仕して頂くとしましょう。僕の服をこんなにも汚した罰です」



そう言い、アズールはとりあえず仕事を終わらせる為に戻って行った。助けを求められる相手だとは思っていなかったが、この状況を目の当たりにしてもあの態度だ。逃げ出す事は、出来ない。



「よかったですね、さん。もっと気持ちの良い事を沢山しましょうね」



にっこりと笑うジェイドを前に、為す術などありはしない。そもそも、この男は人の女とはどういうものか、という事をを知りたいが為にやっているので限度を知らない。単純な性欲処理とはわけが違う。幾らがもう無理、と言えども思いは一切伝わらない。

アズールと別れてから延々とセックスをしている。が意識を失いかければ強制的に覚醒させられ、意識朦朧とした中、好き勝手にこの身は貪られている。幾度目かの覚醒の後、気づけばフロイドがいた。



「えージェイドばっかズルいじゃーん、俺も小エビちゃんとエロい事したいんだけどぉ」
「いいですよ、僕も疲れたところです。変わりましょう、フロイド」
「あれぇ、ジェイド中出ししてんじゃん、ヤバいんじゃないのぉ?」
「僕とした事が余りの気持ちの良さに歯止めがききませんで…アズールに頼みましょう」
「あ!そっかぁ、だったらオレもいいよね?」
「構わないでしょう、ねぇ。さん」
「やめ、」



やめて、と言い終える間もなくフロイドが挿入してくる。幾度も達した身体は常に疼きが止まらない。フロイドの性器も容易く受け入れる。こんなにも感じる身体が嫌だ、とても疎ましい。



「小エビちゃんもうダウナーじゃーん、どんだけやってたのジェイド」
「さて…3時間ほどでしょうか?」
「狡くない?オレずっとアズールの手伝いしてたんだけどぉ」



ぐったりとしたを起こし体勢を騎乗位に変えた。



「ほらほら小エビちゃん。自分で動いて」



の腰を掴み、下から突き上げる。が力なく声を上げた。



「まったく、見てられませんね」
「お、やんの?」
「えぇ」



ジェイドの性器がアナルに挿入され、が仰け反り大きく声をあげた。



「うお、スッゲー締まる」
「折角フロイドが来たんです、少しは歓迎してあげてください」
「わー小エビちゃん泣いてるよ、ジェイド」
「それだけイイって事ですよ」



しかしこの体勢で二本差しが出来るという事は所謂前付きってやつなんですねさんあなた、だとか何だとか、ジェイドが一人で喋っていたような気がするがもう分からない。クルーウェルに開発されたアナルは既に性器の如く感じるようになっているのだし、フロイドの性器は兎に角奥まで届く。



「あなた達まだやってたんですか」
「あー、アズールだぁ」
「ヴィルさんが探し回ってましたからね、そろそろ切り上げて下さい」
「アズール、申し訳ないのですが例のアレを」
「本来なら僕にはまだ権限がないんですよ」



ぶつくさと言いながらもアズールは散々な状態のに避妊魔法をかけた。流石に三人目だ、何をされたのかくらいは分かる。



さん、この事は内密に。他言無用ですよ」
「…」



アズールは写真を数枚、に見せる。己が痴態の写真だ。



「あなたにも徳はないでしょう?」
「…」
「あと、明日の21時にモストロ・ラウンジにいらして下さい。ああ、そうだ。拒否権はありませんので。」
「まぁだ何かやんの?」



こちらはもう答える余力もない。全身はぐったりと疲れている。とりあえず着るものだけ着て、よろよろと歩きだす。スマホにはヴィルから数件LINEが来ていた。