覗き見するくらいなら堂々としなさいよ



   少し手伝えと声をかけられ、断る術もなく実験準備室に吸い込まれ今だ。ここは基本的にクルーウェルしか使わない部屋で、錬金術の授業に必要な材料や様々な薬品が所狭しと置かれている。危険物も多く、無論ドアは施錠されているわけで、故に彼はこの部屋を使う事が多い。

あの日、クルーウェルに調教紛いの真似を受けヴィルが迎えに来た後、初めて面と向かい愛の告白染みたものをされた。散々と身を貪り合って置きながら今更何を、という話なのだが、あのヴィルがあんたの事を好きみたい、だなんて言葉を(顔を背けながら)言ったのだ。驚かざるを得ない。

だけれど普通に愛を交わすには余りにも爛れすぎた。嬉しいですけど、そう返すが精一杯だ。だからといってそれからとヴィルの関係が劇的に変わるわけでもなく、只、セックスの回数が以前より増した。

ヴィルはこちらを辱めるような真似を好む。ボールルームで指導交じりのプレイが代表的で、ああいう風に視覚的にもこちらを責める。好きみたい、とは言われたが付き合うとは言われていないわけで、今のところ好意を伝えられただけだ。

それに余り大きな声では言えないがが判断に困っている点がもう一つある。他の誰かとセックスをした報告をしなければならないのだ。そもそも好きな相手が自分以外の誰かと身を交わせば怒りそうなものなのに(腹は立てているようなのだが)あえてそれを禁止せず報告を義務付けた。

その言い様も凄まじく、あんたは誰とでも寝るからね、とさも当たり前のように言われ驚いた。そもそもクルーウェルとあんな事になったのは元はと言えばヴィルのせいだし、レオナに関しては確かにこちらのせいかも知れないが不可抗力だ。

その後、オクタヴィネルの三人に輪姦された時はよくない香を使われていたし(私側と言うよりも明らかに相手側の倫理が欠如している)そもそも、ヴィルに知れたらまずいと必死に隠しその結果好き放題にされたというのに、こちらの身体の状態を見てどこのどいつとやったの?と聞いてくる彼には心底震えた。

言えば嫌われるとそれを恐れ必死に隠そうとしたをありとあらゆる術でヴィルは責めた。一時間は耐えたが流石に限界を迎え、ごめんなさいと涙を零し、嫌わないでと泣くを前にバカね、と囁く。

アンタが何をしようとアタシがアンタを嫌うわけないでしょう。ここで価値観の崩壊だ。ヴィルの言っている事が一切理解出来なかった。アンタはそういう女なの。だから好きなの。だからって、何。分からない。

混乱するをよそに、酷く興奮したヴィルは白状した相手との事細かなプレイを一から説明しなさいと告げる。長い夜の幕開けだ。口にするまでは、知れればヴィルがアズール達に食ってかかるのではないかと思っていたが、予想は遥か斜めに外れた。



「舌をもっと使うんだ」
「ん、ん」
「唾液を溜めろ」



この部屋でクルーウェルのものを咥える事はもう珍しくない。彼はセックスをする、というよりもこうして調教する事が好きらしい。個々最近は専らの舌技を磨く事にご執心で、暇を見つけては咥えさせている。

机に潜りチャックから出したものをひたすら嬲る。フロイド達のように力任せに身を揺さぶられないだけ体力的にはマシだが、何をされても感じる様に身体を変えられる事には恐怖を感じている。クルーウェルの持つ鞭はの肌を滑り赤い線を残す。

つい先日などはクルーウェルの部屋にある浴室で開口マスク(というらしい。それこそクルーウェルに教えられた)をつけられ、散々とイラマチオを繰り返された。アナルを好むクルーウェルと会う時はプレイ前に中身を全て出すところから始まる。グリセリン液の入った浣腸をするところから彼のプレイであり、それら全てを出し切り長い調教の幕が開けるのだが、イラマチオは話が違った。

胃の内容物をぶちまける。もう吐くものがないとなっても胃液が込み上げる。えずく。開口マスクをつけている為、強制的に大きく開けられた口の中にクルーウェルは性器を突っ込む。喉の奥深くにまで遠慮もなしにだ。幾ら吐いてもそれは終わらず、最初から出しっぱなしにされているシャワーは嘔吐物を流す為のものだったのだと気づいた。

が逃げないように両手は後ろ手に拘束されている。逃げようがない。恐ろしかったのはそんな目に遭っているにも関わらず散々と濡れていた己が身体で、精を吐き出したクルーウェルはの舌を掴みぬるぬると嬲った。彼から嬲られる舌は得も言われぬ快感をに与えた。



「…お前たちを見てると、思い出すんだよ」
「ん、ん、」
「お前とシェーンハイトの関係は歪だ」



過去の自分と重なるんだと、クルーウェルはそう言った。どういう事か気になるも舌を止めれば鞭が振り下ろされる。舌先は疲れ痺れて来た。そろそろクルーウェルに射精してもらわねば身が持たない。



「…お前みたいな学生がいたんだ。俺の時もな」



俺とそいつは、それこそシェーンハイトとお前みたいな仲になった。クルーウェルの語尾が僅かに震え、口の中に生温い感触が広がる。こればかりは幾度経験しても慣れない。生温さが青臭さを増す。吐き出したいがそれは許されない為、必死に飲み込んだ。そのままクルーウェルの膝に手を置き、身を乗り出す。



「その時も先生みたいな人、いたの」
「…」
「先生は、その人の真似をしてるのね」
「喋り過ぎだ、駄犬」
「ぁ、あんっ!」
「お喋りは許可してないぞ」



クルーウェルと相手がどうなったのかは知らない。彼はそれ以上その話をしなかったし、彼の指はの乳首と舌を執拗に弄る。摘まみ出された舌のせいで口の端からは唾液が零れ乳房を伝い乳首を濡らす。ガクガクと背をのけ反らせがイった。触れていない膣から大量の液体が吹き出しクルーウェルの靴を濡らす。



「駄犬、キレイにするんだ」
「はぁっ、はぁっ」



眼前に差し出される靴を見て、自身の体液を舐めとる。クルーウェルの調教はの身体を熱く滾らせ終わる。そのままヴィルの元へ駆け込むまでがプレイの一環だ。同じような事を、過去経験しているのだろうか。