薄ら笑いだなんて趣味が悪いわ



    目覚めるとそこは知らない場所だった。石造りの壁がまず目に入り、その周囲いある異様な装飾に息を飲む。そこはまるで中世の拷問部屋のような造りで、鉄の処女が設置された横には様々な大きさの苦悩の梨が飾られている。

部屋の真ん中には石造りの台座が設置されており、四隅には蝋の溶けた名残が見て取れる。まさに自分自身も右足に大きな枷がつけられいる。大きな鎖は壁に伸びているようだ。

訳が分からず必死に枷を外そうともがくが当然びくともしない。足首の皮膚は裂け血が滲んだ。大声で叫べども誰も来ない。部屋には窓一つなく時間が分からない。

最初は驚き次に怒り次に泣いた。不条理な現状を嘆き悲しみ、そうして眠る。不思議と腹は減らなかった。

二日目に目覚めた時、変化は訪れた。衣服がない。上下ともに下着姿になっており、こちらが寝ている間に何かしらがこの部屋を訪れたのだと知る。恐ろしかったが足枷がなくなっている。そちらの方に意識は奪われた。

多少衰弱しているものの身体は動く。床をそろそろと這い、一ヵ所しかないドアへと手をかけた。鍵はかかっていない。ギイ、と音を立てドアが開く。部屋の外は室内と同じく石造りで長い廊下が果てしなく続いていた。

明かりは黄緑色に揺れている。人気はまるでなく、どこをどう進めばいいかも分からない。必死に走り壁にぶつかり崩れ落ちる。それを数えきれない程繰り返した。逃げ場はない―――――



「…どうした」
「!」
「勝手に逃げ出して、悪い子じゃのぅ」



ハッと顔を上げればすぐそこにリリアがいた。逃げたいが身体は既に疲れ切っている。動けなかった。



「何で、」
「余興と洒落込むとするか」



逃げろ、とリリアは言った。ワシから逃げろと笑った。何故。その理由は分からずとも逃げた。身体はくたくただったが急かされるように逃げた。足は幾度も縺れ転倒したが、這い蹲りながら逃げた。

リリアの声はすぐ側で囁く。逃げろ、逃げろ。捕まったら仕舞いじゃぞ。のう、。すぐに捕まえられる距離感だ。その事は分かっていた。リリアが捕まえられないわけがない。だからこれは遊びだ。

数えきれない程転げ足は傷だらけになり血が滲んだ。もう、一歩も動けない。逃げる事を諦めた瞬間、それが分かったのだろうか。リリアの手がの足首を掴んだ。振り払おうともがくも力任せにズルズルと引き摺られる。振返って確認したリリアは普段と違っており、酷く逞しい。髪の色や声でようやくリリアだと分かる程だ。



「離して!!」
「戯れは終わりじゃ」
「嫌っ!」



リリアはそのままを担ぎ上げ、近くの部屋へ入った。最初にいた部屋だ。台座に放り投げられその事に気づいた。くたくたに疲れ切った身体は思うように動かず、そのまま身を縮めた。

リリアは手のひらのついた血を舐めた。の血だ。目の色がギラリと変わった気がして息を飲む。



「足を見せい」
「ヤダ…」
「痛むじゃろう」



傷だらけになり血のにじむ足をリリアは撫で愛おしそうに舐める。傷口に吸い付き舌を絡める。彼が興奮している事が分かり言葉も出ない。事態がまるで理解出来ず、怯えながら呟いた。助けて、エース。恐らく無意識だったのだと思う。



「…それは心外だな、
「!」
「そこで呼ぶのは僕の名じゃないのか?」
「ツノ太郎…」



背後にマレウスがいた。つい先刻まではいなかったはずなのに今はいる。背後からを抱き締め口付ける。涙が零れた。これは、私は、一体。

マレウスの口付けはまるで軽くなく、戸惑うの唇を割り舌を絡めようとしてくる。戸惑い抵抗するも無駄だ。マレウスの指が腹をくすぐる。腹から胸、腰。至る所を撫でる。足を舐めていたはずのリリアは一人、すまんすまん、折角の処女の血じゃ。無駄にするには惜しくてのぅ。そう呟き次の動きにうつる。

の足を大きく広げ下着を切った。そのまま無防備な性器に口付ける。怯えが強くまるで濡れていない性器をじっくりと愛撫する為、膣口に舌先を差し込み指先で刺激する。マレウスに呼吸を奪われているはその感触に身を震わせた。

リリアの指は膣口に侵入し、唇をすぼめ余り露出していないクリトリスを吸い上げる。強い刺激に腰が浮く。



「じっくり濡らしておかぬとな、最初が肝心じゃて」
「ん、んっ、ん!ん!!!」



リリアの舌は執拗にクリトリスを刺激する。吸い上げ、舐め、幾度達しても離れない。指は一本から二本になり、ぐちゃぐちゃと音を立てる程に愛液は溢れていた。この頃になるとの抵抗は失せ、与えられる暴力的な快楽に身を任せる他ない。マレウスの唇もようやく離れ、が耐え切れず漏らす喘ぎ声が室内に木霊した。



「そろそろじゃぞ、マレウス」
「ああ、分かっている」



リリアの指が抜かれ、ひくひくと蠢く膣は明らかに物足りなさを感じている。ぼんやりと目を開けば股の間にマレウスの顔が見える。彼はの足を更に広げ、膣口に性器をあてがった。



「や、やめ」
「おやすみ、可愛い



人の子よ。
マレウスはそう囁きの中に侵入する。肉の抵抗などお構いなしに突き入れ、が痛みに顔を歪める。だけれどそれもじきの間だ。の膣からは愛液と血液が流れ落ち、リリアはそれを指先で掬い舐める。最初から全て入り切れず、中頃で留めゆっくりと腰を動かした。の膣はマレウスの性器をこれでもかと締め付ける。



「や、ヤダぁっ…なんでぇ」
「泣くな、人の子」
「うっ、っ」
「いい夢を」



破瓜の痛みに慣れ始めた辺りだ。意識が遠ざかる。私の身体を揺さぶり自在に動かすマレウスが酷く遠くに思え、今享受している快楽が何なのかも分からない。目を閉じたは深い眠りに堕ちた。王子の口付けでなければ二度と目覚めない深い眠りだ。

ぐったりとしたの身体を貪り、大量の精を吐き出した。少なくともこの娘の最初の男は僕だ。それは何人にも変えられない。大量の精に冒されたに体内にはマレウスの魔力が存分に与えられた。ズルリと性器を抜く。この満足感はそうない。体内から征服する。愉快だとマレウスが笑う。そうじゃろうと、リリアも笑った。