確かに僕はこの目で見た



    ちゃんが俺の事を好きな事は知ってる。彼女は誰の事も好きで誰の事も愛して、誰からも愛し愛される完璧な生き物だ。彼女の周りにはいつだって誰かしらがいて孤独とはまるで無縁で、そんな彼女だから特定の誰かに好意を示す事は難しい。

どこからかは分からないが急に現れた監督生であるはこの学園内でも稀有な人物で、だから不思議で仕方がない。ねえ、ちゃん。キミ、オレなんかのどこがいいの?この感覚が思い違いでない事は分かっている。

からの視線はいつだって感じる。彼女はうちの寮の一年生と仲がいい。それに着々と交友関係を広げ今では各寮長とも懇意だ。色んな場所で姿を見る。別にこちらからは声をかけない。別に話す事もないし、オレはどちらかといえばキミの事が嫌いだから。

トレイ君とかは世話焼きだからさ。わかんない、下心もあるのかも知れないけど、まあそういうのってオレの範疇外だからさ。どうでもいいってのが本心だよ。だけれどちゃんがオレの事を好きだってのはマジで只の事実で、だからどうこうってわけじゃない。



「…え?」
「だからさぁ、ちゃんってオレの事好きだよねー?」
「!」



学園長により古書の整理を頼まれたは、地下にあるこのバカでかい保存庫にて一人、労働に勤しんでいた。意思を持った古書たちは時折、勝手に動き出すらしい。床に散らばる古書を拾い上げ所定の位置に仕舞う。所定の位置に仕舞わなければすぐに又飛び出し床に散らばるのだ。学園長は簡単な仕事ですよと言っていたが、こいつは相当な重労働になる。

騙されたと思いながらもグリムがとっくに逃げ出した今、一人で処理するしかない。古書たちが人口の灯りを嫌うという理由でぼんやりとした光虫達が辛うじての明かりを齎す。数時間、ここにいただろうか。

ようやく終わるといったタイミングで声をかけられた。驚き顔を上げればケイトがいた。驚きと同時に嬉しさを覚える。ケイトは恐らくこちらの気持ちに気づいている。そうして避けている。こちらはもっとケイトと話がしたい。もっと彼の事が知りたい。嫌われていると思っていたけれど、杞憂だったのだろうか。ケイトは入口近くの壁にもたれ古書を開いている。



「ケイト先輩」
ちゃんこんなとこで何してんの?」
「学園長に整理を頼まれちゃって」
「相変わらず貧乏くじ引いてるね」



初めて顔を合わせた時くらい自然に会話が出来ている。ケイトは古書に視線を落としたままだ。こちらが話をしたいが為にやけにぐいぐいと話しかけてしまい我ながら自重しろよと笑えた。他愛もない会話の羅列だ。

そんな中、ケイトが急に視線を上げた。目が合う。心臓が跳ねた。そこで問われたのが上記の言葉だ。オレの事、好きだよね。息が止まった。



「顔、真っ赤じゃん」
「え、やだ」
「何で?」
「えっ?」
「オレなんかのどこがいーの」



ケイトが古書を戻しとの距離を縮めた。驚き一歩下がれば何かにぶつかり振り返る。ケイトだ。ハッと気づいた瞬間、背後のケイトに唇で口を塞がれた。驚きの余りんん、と声を漏らす。好きならいいよね。正面のケイトはそう囁きのシャツに手をかけ力任せに引きちぎった。

普段のヘラヘラした彼とはまるで違う粗暴な姿だ。当然笑顔は失せ、薄暗い室内が落とす影に飲み込まれている。唇を吸うケイトだってそうだ。まるで笑っちゃいない。

正面のケイトは抗うの両腕を捕らえ首筋から胸元に舌を這わせている。ケイトの舌がようやく離れた。



「や、やめ」
「なんで」
「こんな」



こんな真似しないでと言えないでいる。ケイトが今確かに触れている、その事実に抗えない。こんな風だから私はダメなのだと知っている。そうしてその事にケイトは気づいている。だから彼は私の事を好きになってくれないのだろう。

背後のケイトに引っ張られ床に伏したに正面のケイトが覆い被さる。



「ほんと、バカじゃん」
「んっ…」
「こんな真似されてんのに、ちゃんさ」



ケイトの指が下着の隙間から入り込んだ。ぴっちりと閉じた肉の割れ目を指先でなぞればが唇を噛んだ。鼻にかかる声ですすり泣く。そんな姿を見るともう駄目で、否応なしに興奮する。オレを好きな女。何をしてもオレを許す女。ああ、もう。最悪だ。

ぐっと指先をめり込ませ肉の壁が開く。内部はぬるぬると熱い体液で潤っておりが小さな声で嫌だ、と喘いだ。



「何?何が嫌なの?」
「ぁ、あっ、や」
「だってすごい濡れてんじゃん」
「あ、あっ」
「うけるね、ちゃん」



ほらイっちゃいなよ、とケイトは囁く。指を中頃まで差し込み少しだけ曲げ、膣壁を擦るように強く押した。自分でも分かるくらい膣内が痙攣し腰が浮く。



「やっ、ヤダぁっ!」
「ほら、イきそうなんでしょ」
「や、あ、やだ」
「イけって!」



彼の言葉通り熱い液体を吹き出しながらイった。潮を吹いたのだ。全身が痺れるような強い快楽に驚き肩で息をする。両足ははしたなく開きその間に座るケイトをぼんやりと見つめた。

一人、二人。ケイトが増える。頭上で髪を撫でているケイトもだ。荒い息の中、顔を背ければ幾つもの足が見え、ゾッとする。ケイトの手が両足を持ち上げ、潮を吹きぬめりの失せた膣に性器を押し付けた。

ケイト達は散々との身を貪り精を吐き出し一人、又一人と消えていった。床に転がされたは自由に動く事も出来ずにされるがまま股を開く。男達は全てケイトの顔をしていて、こちらに口付け、身を弄り、精を吐き出す。

何故ケイトがこんな真似をしたのかは分からない。理解する必要もないだろう。こんな真似をされてもケイトを嫌いになれないでいる、そんな自分はどうかしているんだろう。

次々と消えていくケイト達に名残惜しささえ覚え、最後の一人が消える瞬間、受け入れられない程の損失感を覚えた。失せた先から生温い体液も消える。何事もなかったかのように。



「…あ」
「どしたの、ケイト」
「んーと、別に」
「てか顔色悪くない?大丈夫なの?」
「はは、だいじょーぶだいじょーぶ」



ちょっと疲れただけだよと笑う。全員が消えた気配を感じた。を散々と慰み者にしてだ。これで彼女はオレに近づかなくなるだろう。そうしてようやくオレの世界は保たれる。だから、さっさとちゃんはオレの事を嫌いになればいいのに。