白の部屋には狂気が宿り



   夜半過ぎのやり取りは全寮を繋ぐ地下通路で秘密裏に執り行われた。式典服を着たルークが眠ったを抱えサバナクロー寮の地下通路近くまで連れて来た。その少し後ろに同じく式典服を着たヴィルが腕を組み佇んでいる。

式典服を着ているのは闇に紛れる為だ。同じく式典服姿のラギーが受取り、の身柄は無事ポムフィオーレからサバナクローに引き渡された。

詳しく聞いてはいないが相応の真似をされたのだろう事は想像に難くない。事後の痕は一つも見当たらない程、の身体はキレイに身支度されていた。鎮静作用のある香も嗅がせたらしい。流石ポムフィオーレといった所か。レオナは面倒だと言い地下通路まで下りて来なかった。

引き渡しされたを抱え階段を上ったラギーに対しレオナは『準備』を言いつけた。そうなるだろうと思ってはいた。



「えぇー!嫌なんですけど!」
「嫌とかねーんだよ、黙ってやれ」
「あんま得意じゃないんですよオレ」
「仕方ねーだろ」



俺だってこんな事やりたかねーよ。
準備が出来たら連れて来いと言ったレオナはそのまま自室に戻った。恐らくひと眠りするのだろう。面倒な事は全てこちらに押し付けるスタイルには慣れている。

レオナの部屋に通じる隠し通路を使いを寮内へ運ぶ。寮長の部屋からこの地下通路までは直通の隠し通路が繋がっており、こういった場合に大変重宝する。つい先刻別れたばかりのレオナはとっくに寝息を立てており、もうこの人はとんでもないなと思いながらレオナ専用の内風呂に向かった。

ここはレオナの部屋に備え付けられている風呂で、当然レオナ以外の寮生が使う事は出来ない。『準備』にはうってつけの場所だ。

脱衣所に備え付けられている大理石で造られたマッサージ台にを寝かせ巻かれていた布を取る。の肌には縄の痕が薄っすらと残りヴィルの趣向が垣間見れるが、この程度なら隠せるだろう。何せレオナさんはそういった残り香を嫌う。

の全身にボディバターを塗りじっくりとマッサージを始める。肉は出来るだけ柔らかく、肌は吸い付く程なめらかに仕上げなければならない。王族御用達のボディバターは極上の香りと肌触りだ。眠っているはずのも僅かに感じ始めた。

触った感じ、相当な魔法力がの体内に留まっている。これは恐らくマレウスとヴィルが吐き出したものだろう。それらはの体内に蠢き確かな熱を発する。こいつは好都合だと爪先から指先を滑らせる。

はあはあと僅かに開いた唇から零れる吐息は甘い。の足を曲げ、股関節をぐっと押しながらの反応を伺った。乳房を持ち上げる様に揉めば乳首はすぐに固く尖った。あえてそこに触れずわき腹を擽る様に触れる。の膣はすぐに体液を垂れ流した。彼らの排泄した精液はどうやら体内に留まり漏れて来ないらしい。どういう理屈なのかは分からないがエグい真似をするなと笑った。

延々との身体を撫でまわし感度を上げ続ける。このマッサージは夕焼けの草原に古くから伝わる儀式に使われている、いうなれば由緒正しいものだ。古くは王族に献上する生贄に施された施術で、性感を高める為に使われた。太古より生贄に選ばれるものは処女が多かった為、最初から楽しむ為に施されていたらしい。



「んん…」
「ようやく目が覚めたッスか」
「ん…」



に投与されていた鎮静剤は中々の効き目だった。ようやく目覚めたは知らぬ間に感度を上げられた身体に頭がついて来ず状況も把握出来ていない。体内に留まる魔力も手伝い夢うつつのような状態なのだろう。

全身を台の上でくねらせるの口元に性器を近づけ咥えさせる。唇に近づければ自然に舌を出した辺り、は完全に術中だと考えていいだろう。咥えさせたまま緩々と腰を動かし芯を入れる。ある程度の固さになった段階で抜き、膣に挿入した。

そのまま動かない。じんわりと広がる快感に耐え兼ねが自ら動こうとするも腰を掴み阻止する。それ以外は中折れしかけた時にゆっくり動き刺激を与えるだけで数十分だ。これを続けるとどんな女も動いて、と自ら懇願する。



「…っ、動いて」
「ダメダメ、それじゃ意味なくなっちゃうんで」



萎え出すと少し動き、すぐに止める。その繰り返し。寸止めの状態が続くのはもラギーも同じだ。まあ、マトモな状態でない分、さんの方がしんどいとは思うんスけど。



「いや、オレもキツいんスよマジで」
「や、やぁ…っ、ねえ、何で」
「でもレオナさん優しいっスよね?アンタに出来るだけ負担がかからないように念入りな準備させてんだから」
「動いて、ねえ」
「まぁ、大変なのはオレなんだけど(それに濡れてる方がレオナさんも気持ちいいんだろうけど)」



の膣は滾る程熱く蕩けている。全身にくまなく塗られたボディバターには催淫成分が入っており、その効果も出て来たようだ。の全身はしっとりと汗ばんでおり甘ったるい香りを撒き散らしている。



「でも本当、あんたも不遇スよね。こんな目に遭って」
「…!」
「…ん?」



マレウスの呪いのせいなのか、ポムフィオーレの毒のせいなのか。若しくは延々と続く寸止めのせいなのかは分からない。全てが原因かも知れない。不遇と言われたは一瞬だけぽかんとした表情をしてポロリと涙を零した。まだ正気が残っているらしい。



「いやー、泣かないで貰えますかそういうのマジちょっと萎えるんで」
「…」
「嫌なんスよね?さんも。こんなのさ。だったらさっさと終わらせちゃいましょー」
「やだぁ…もう、動いてよぉ」
「泣くなって言ってんのに」



呆れながら泣くを宥め、正常位から騎乗位に体位を変える。ラギーの腹の上に跨るはしっかりと腰を掴まれ動きを封じられている。自身の体重がかかり、より深い所にまで性器が届く。もどかしさから逃れたく、泣きながら懇願してくるを見て可愛いなぁと思う。可愛いなあと思うが、やはりこれは辛い。

の身体を押しのけながら一度抜き、体液でぬらぬらと光る性器をの口元に突きつける。はあはあと二人の吐息が重なる中、はそれを咥えた。台座に座りラギーの性器を咥えたは無意識に自身を指で慰めようとする。

咥えさせたままの両手を万歳の格好で捕まえた。もどかしそうに腰を揺さぶりながら咥えるに向かい、ラギーも腰を振る。我慢していた為、そう時間がかからず口内に出した。の喉がゴクリと音を立てそれを飲み下す。完全に発情した表情のはもの欲しそうな目でこちらを見上げている。そんな目で、オレを見るなよ。

その時、背後に面する内風呂の扉がガラリと開いた。そうら、悪い狼さんの登場だ。そう呟きながら振り向いた。