黒の部屋には愛欲が住み着く



   『準備』は仕上げの段階に入った。面倒の種は早い段階で摘んでおくに限る。中に入って来たのはジャックだ。この時間にここに来るよう、事前に連絡をしていた。双方裸のラギーとを見て瞬時に察したのだろう。何をしてるんですか、と声を荒げた。

彼なら―――――ジャックであれば、そのままこちらに駆け寄り殴りつけるなりするだろう。そう。彼が止めに入る事は最初から分かっていた。近づくジャックをじっと見つめ台に隠しておいたマジカルペンを向ける。

ラフ・ウィズ・ミーでジャックの動きを封じた。あのデカい図体を思い通りに動かす事が出来るのだ。そのままの前で動きを止めた。すぐに状況を把握したジャックはやめろと叫ぶも当然、身動きがとれない。



「よせ、
「…」
「よせって…!」



そんなジャックのスウェットに手をかけたは躊躇なくそれを下ろした。驚いたジャックがやめろと叫ぶも当然彼女は止めない。はそのままジャックの性器を手に取り迷う事なく口に運んだ。口の中でじっくり味わうように念入りに舐めしゃぶる。傍から見ていても興奮出来る咥え方だ。

途中まで静止の声を上げていたジャックも徐々に声を殺し目を閉じた。与えられる快楽に抗えない。の口内に発射するまで凡そ10分くらいのものだった。射精と同時にラギーも魔法を解く。ジャックはそのまま床に膝を突いた。まあ、無理もない。



「これで共犯スね」
「ふざ、」
「もう邪魔しないで下さいよ。オレだってさっさと終わらせてーんだから、こんなの」
「あんたら…」



自身が吐き出した精子を飲み下したを呆然と眺めた。喉を鳴らした後、自身の手で性器を弄っているはまるで知らない女だ。言葉を交わし学園内で顔を合わせていたと同じ女だとは到底思えない。こんなに性的で、ふしだらで、淫らな知った顔をした女。

喉がカラカラに乾いており上手く言葉が出て来ない。酷いショック状態だ。こんな姿、エースにはとてもじゃないが見せられない―――――



「オレとかジャックくんとかの体液にも当然魔力は宿ってるからさ。魔力が残るんだよ。ちゃんの体内に今、相当量の魔力が溜まってるの分かるよね?」
「確かに…」
「魔力に耐性のない普通の人間ってさ、そうなると精神が干渉されて、一時的に正常じゃなくなるらしいんスよ。ほら、ちゃんの目を見て」



確かにそうだ。ぼうっとしたような夢見心地の状態。の目はとろんと濁り何ものも見えていないようだ。



「濃度が増せば増すほどその傾向は強くなって、ちゃん自身の理性も失われる」
「じゃぁ、このは」
「そう、まともじゃない。レオナさんから準備も頼まれてるし、夢見てるような感覚じゃないっスかね。そうでもしないと勃たねーって言うし。可哀想な女じゃ勃たないらしいんスよね、レオナさん」
「まぁ、分からなくもない気が…」
「あージャックくんもそういうタイプっぽいわー」
「や、泣いてる女相手とか無理っスね、俺は」
「オレは割といけるんだけど―――――」



話している最中、ヤベ、時間だ、とラギーが慌て出す。そのまま腰に布を巻きつけ全裸のを抱え上げた。



「つーことでご内密にお願いしますよ。後、この内風呂はレオナさん専用なんで長居しないで欲しいっス」



だったら俺も一緒に、とラギーを追いかける。数秒の話にも関わらずラギーとの姿はなく、ベットで寝ていたはずのレオナの姿もそこにはなかった。










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ふらふらと覚束ない足取りでは歩く。ここはサバナクロー寮の地下だ。の耳側で囁き扉の中へ向かうよう背を押す。ここでようやくお役御免だ。

ショウの身体は存分に甘く熟れ食べごろになっている。どんなケーキよりもワインよりも何より美味しい。ここまでお膳立てしたのだ。何よりも美味しく頂いて貰わないと困る。扉の中には寝起きのレオナがいて、はぼんやりとした状態のまま彼の側に近づく。



「…どうした、
「疼くの」
「ほーう、こいつは」



随分な仕上がりだ。あいつも腕が上がったもんだ。



「どうしていいのか分からないの」
「もっと近くに来いよ、



腕を掴みぐいと引き寄せる。の肌からは男達を興奮させる扇情的な香りが漂っている。今にも噛みつきたい衝動をどうにか抑え腹の上に跨らせる。の膣はとっくに濡れており準備は万端だ。甘く滴る眼差しでレオナを見下ろし、いやらしく腰を揺らす。

こうも淫らに変貌させるのかと驚いた。それと同時に酷く興奮したのも確かだ。の体液に塗れた自身の性器が固くなりググッと屹立するのが分かった。ショウはそれを指先で掴み膣に擦りつける。素股の要領で膣とクリトリスを刺激するように腰を前後に動かす。

数日前まで処女だた女の姿だとは到底思えない。ここまで変わるのか。この女はどこまで変わるのか。

目を細めればの体内に蠢く魔力の源が確認出来る。吐き出された精はそのままの体内に留まる。



「挿れていいぜ、許してやる」
「あぅ…っ、ん、んんっ」
「好きに動いて見せな」



グッと飲み込まれた性器を激しく絞め付ける。挿れただけでは達しているようで、幾度も身を震わせていた。半開きの口からは涎が垂れもうまるで正気でない。そんなを見ていれば、勝手に気持ちよくなってるんじゃねぇよと、意地悪な気持ちが湧き出て来る。

の腰を掴み下から勢いよく突き上げた。イっている最中のは新たな刺激に対処が出来ない。



「ん、あ、あっ!」
「一人でお楽しみの最中に悪ぃな」
「やっ、あ、強っ」
「俺も楽しませてくれよ」



この話を聞いた時から嫌な気持ちは絶えず渦巻いていた。こんな事をが望んでいるとは到底思えない。そもそもこの女には意中の相手がいたのではなかったか。名前までは知らないが、確か学内でよくつるんでいるガキだ。そういう匂いがしていた。

こんな真似をしながらも平気面をして愛を騙れるマレウス程、生憎こちらは図太くない。仕方なしに手を貸しているが実際まるで気乗りしないし下手をしたら勃たなかったかも知れない。まあ、だからラギーに『準備』を言いつけたのだが。

そもそも泣く女は嫌いだ。萎える。だから出来るだけ早くの正気を奪った。正気でなければ傷つかない。記憶にも残らない。こちらも、罪悪感は薄れる。それが例え多少の話でも。

の肩を押さえつけながら背後から犯す。すすり泣くようなの喘ぎ声は確かに興奮する。顔さえ見なければ。これが特に見知らぬ女であれば。でさえ、なければ。



「可哀想にな、お前」
「…!」
「こんな目に遭って」



無意識に快楽から逃げようと身を捩るを上から押さえつけ激しく腰を叩き付ける。うわ言の様にが、おかしくなる。そう呟いた。おかしくなっちまえよと、思わず囁いた。