故に我は知り我は往く



   引き渡されたは酷く疲れていた。ぐったりと目を閉じていて微動だにしない。体内に渦巻く膨大な魔力にエナジーを奪われているのだろう。まったく乱暴なものだよ、と文句を言いながらリドルは回復の魔法をかけている。



「しかし、これまた好きにやられたな」
「意識が朦朧としてるじゃないか、まったく」



こんな状態のに魔力を注がなければならないのは申し訳なく感じる。それに、やはりリドルの事が気がかりだ。暫くしてが目覚めた。はリドルとトレイを見て驚いていた。



「目覚めたかい、
「リドル」
「とりあえず、紅茶を」
「あの」
「これは決まりだよ」



部屋の中は甘い匂いで埋め尽くされていた。恐らくトレイが作ったのであろうカップケーキやタルトが至る所に飾られ飴細工の花で彩られていた。



「疲れただろ」
「…」
「話をする気分じゃないか。そりゃそうだよな」



目覚める度に見知らぬ部屋にいる。記憶は所々あやふやになっているが、この身は散々と貪られている。うすぼんやりとした、一見夢かと思えるような記憶は恐らく現実なのだ。

全身に染み付いていた倦怠感は不思議と失せていた。リドルから差し出された紅茶を受け取り飲む。体内に入ってすぐに染み込んだ。安心する。



「好きなものを選ぶがいいよ。トレイが作ったんだ」
「私、まだ解放されませんか」
「ああ」
「まだダメなんですね」
「そうだよ」



俯くにリドルが続ける。



「僕は君とセックスをする。そこにいるトレイも同じだ。そうせねばならぬ理由があるからね」
「それは」
「その理由をキミは知る必要がない、いや、恐らく知るべきではない。僕たち同様納得は出来ないはずだからね」



リドルは心なしか苛ついているように見えた。



「とりあえず、このマカロンなんかどうだ?自信作なんだが」



皿に乗った色とりどりのマカロンを目前に差し出され反射的に手に取った。確かに随分と腹は減っている。薄水色のマカロンは口の中に入れた瞬間とろけた。



「ボクも一つ頂こうか」




が2つ目のマカロンを口に入れる姿を見ながらリドルが指を伸ばした。










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だったらついておいで、と告げたケイトと共に向かったのはハーツラビュル寮の地下だった。確かに以前、デュース達と寮内をくまなく探索した際に地下へと続く階段を発見した事があった。しかし、その先に続く扉には大きなカギがかかっていてその時は残念ながら開ける事が出来なかったのだが、今現在、施錠され開かなかった扉はケイトの持つ鍵で開かれ、それからどんどんと先に進んだ。

寮の地下にこんなにも長い通路が張り巡らされていたとは知る由もなく、足音だけが無限に響いた。等間隔に設けられた赤い炎が揺ら揺らと長い影を伸ばす。

ケイトはとある部屋に入り、壁に近づきエースを呼んだ。狭い部屋で何もなかったが、壁には5センチ程の穴があいていた。



「好きに楽しんで」



ケイトはそう言い部屋を出て行く。一人取り残されたエースは穴をじっと見つめた。この先にがいる…?










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マカロンを幾つも流し込み理性をどうにか抑え込んだ。催淫剤の効果は絶大で性器はすぐに勃起したものの、いざの身体に触れると忌々しい記憶が蘇る。

生理現象としての勃起さえも許されず二度とそんな事にならないようにとベルトで縛られ打たれた。母親の指はリドルの性器をきつく掴み激しく擦り上げる。いやらしく恐ろしい、これだけ躾けられても言う事を聞けないのか。強い刺激と己が意志でどうにも出来ない生理現象の狭間で気が狂いそうだった。

あの悪夢はリドルに陰毛が生えるまで続いた。毎晩毎晩責められ、朝には夢精をしていないか下着のチェックをし、自慰行為を行っていないか匂いを嗅がれた。彼女にとって自慰行為は悪しきもので、罰せねばならぬ行為だった。

最初に気づいた違和感は同級生がクラスに持って来たエロ本に皆が群がった時だ。あれほど汚らしいと言われていた性欲を皆、前向きに受け入れている―――――



「大丈夫か、リドル」



肩を揺さぶられ我に帰る。どうやら混乱していたらしい。知らぬ間にはリドルの性器を咥え必死に舐めていた。その感触が嫌でも正気を保たせる。



「無理するな」
「いや、平気だ」
「本当か?」
「僕はやらなきゃいけない」



の舌は熱く柔らかい。こちらの性器を含みねっとりと舐め上げる。確かに麻痺した理性下、これが乗り越えなければならない壁だ。、と名を呼び口を離させる。とろんとした眼差しのの手を取りテーブルに押し倒した。










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リドルがを押し倒したタイミングで部屋を出た。自分がいない方がいいだろうと判断したからだ。最初は不安だったが、リドルはあの覚悟で挑んだのだ。催淫剤入りのマカロンを山ほど食べていたからかちゃんと勃起も出来たようだし、一先ずは安心という所だろう。

それに先程からマジカメに散々着信があった。相手はケイトだ。折り返す。ケイトは相変わらず罪深い提案をしてくるもので、しかもそれが微妙に正しさを匂わせる。善悪で決められる程容易くない。

そりゃマズいだろ、と返している途中にリドルが顔を出した。終わったという事だ。ケイトには好きにしてくれと告げ(言われなくてもそうするのだろうが)一皮向けたリドルを労いながら部屋に戻る。

相当量のマカロンを摂取しているリドルは少し休むと言い床で眠ってしまった。精神的な疲れも相当量あったのだろう。リドルにとってはそれだけの出来事だったのだ。部屋の隅に小さくなって眠るリドルに毛布をかける。



「お役目御免って感じ?よかったねリドル君」
「お前な」
「こういうの苦手でしょ?リドル君。よかったじゃん、リドル君も救われてちゃんも助かってさ」



ケイトは何食わぬ顔をしてやって来た。という事は―――――

無意識に壁に目を向ける。ケイトはぼんやりしてるの頬を撫で微笑んでいた。










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目前で行われているのはどうやら現実の話らしく、ケイト先輩はオレがここで見ている事を知った上でを背後から抱きしめる形で抱いている。抱えられるように大きく足を開いた状態なので結合部分がよく見えた。

俺はと言えば、多分滅茶苦茶ショックで知らない内に涙が流れてるんだけど、内心死ぬ程興奮していて我慢ならないくらい勃起してる。もうこれ無理で、何なんだろうなこれ。ショックすぎて頭がおかしくなっちゃったのかな、俺。だって、そうじゃないとこんなに興奮なんてしなくね?俺の好きな女が目の前であんな、あんな事になってんのに何で俺はもう射精しそうなほど興奮しちゃってんの?

が5回イった時にようやく居た堪れなくなった俺は、徐に立ち上がり走り出した。どうやって地下から上がったのか覚えちゃいないんだけど、自分の部屋に戻った時に死ぬ程吐いて、それから。目を閉じても浮かぶのはあのの姿で、俺ってマジで最悪だな。とか思いながらさ。滅茶苦茶オナニーした。がトレイ先輩のちんこ舐めてる姿とかさ、自分で足を持ち上げて腰振ってる姿とか喘ぎ声も鮮明に覚えちゃってんの。俺。

もう滅茶苦茶オナニーして、射精して死ぬ程後悔して。そんな事してたらもう朝でさ。死にてぇな、って思ったよ。