気持ちを素直に伝えられますか






「どうした?」
「むかついた」
「・・・」
「あいつスゲエむかつく」

ガラリと引き戸を開ければ真っ暗な室内、
行灯さえ点けず部屋の真ん中に座り込んでいるが目に入った。
外はシトシトと小雨が降り続いている。
の髪が濡れているという事は彼女は外にいたという事で、
そうしてそれは彼女が腹を立てている事象と関係があるのだろう。
ないとは言わせないさ。
各言うジンも雨に濡らされているわけで、今すぐに火の気が欲しい。
上りこみの向かいで火を起こせば彼女の顔が翳った。泣いている。
まあ、又だと思うだけだ。

「又目が腫れるぞ」
「分かってる」
「痴話喧嘩か」
「あいつもう本当に信じらんない」
「今更だろう」

とムゲンの痴話喧嘩は今に始まったものではない。
だからジンも動じない。
どちらも決して素直になれない人種だ。
気の強さも、我の強さも譲らない。

「少しは素直になったら―」

が余りにも泣くものだから見るに見かねたジンがそう言いかければ
タイミングを見計らったようにムゲンが戻る。
そうして泣くを見た瞬間
こちらに向かい鋭い一瞥をくれるものだから
遣り切れなくなった。
(この馬鹿二人め)

アンケであったジンを絡ませてみました。
うん、サムライ〜を見てる方がいてよかったね。
自分が泣かせたとは微塵も思わない迷惑な男、ムゲン。