愛情はいつかは渇いてしまうものなのですか






この部屋は内側から開けられない仕組みになっている。
何故か。用心深いあの男の仕業だ。
物は考えられない程度に揃えられており
この部屋から出ずとも暮らす事は可能だし
その必要はないとも考える。
鉄格子付の窓からは水色の海が見えるし
遥か彼方に地面が覗くバルコニーに出る事も出来はする。
生きていくだけならば。望まなければ。

食事は日に三回専属のシェフがデリバリーをするし
果物は部屋の真ん中にある大きな丸テーブルに置かれている。
朝と昼の二回、掃除をする為のメイドが
シーツだって変えるわけだし不備はない。まるで、ない。

「退屈か」
「変わんないわ」

あんたも、あいつも。はそう言う。

「フフ・・・」

どうやら囲われる運命にあるらしい。
生まれてこの方ずっとそうで、
例えば産みの親は小国の王族だったが部下の氾濫により没落。
王族全員が処刑されたにも拘らず
だけは小間使いに助けられ国を脱出する。
しかしその氾濫の飛び火を恐れた近隣諸国の人間により閉じ込められた。

「触らないで」
「何だ?まぁだ野郎の事、気にしてんのか?」
「違う」
「まぁ、関係ねェが」

ドフラミンゴの舌が首筋を這う瞬間クロコダイルの姿を思い出した。
あの凍てつくような眼差しがどこからか自分を見ているようで
ドフラミンゴの身体を押し退けようとするけれど無駄だと知っている。
無駄だと知っているのだ。

このままドフラミンゴと交わり続ければ
何れクロコダイルの事なんて忘れてしまうのだろうか。
劇的ともいえるあの別れ、そうして訪れる客。
生きる術を知らない己が招いた結果なのだろうか。
閉じ込められたこの部屋から出る術はない。
恐らく飛び出してしまえば死んでしまうだろう。

アンケであったクロコダイルを書こうとしたら
うん、これドフラミンゴだよねーだよねー。
人の女に手を出したがる男、ドフラミンゴ