人の気持ちは移ろいゆくものだと思いますか

飛び出した理由はまったく身勝手なもので、
だけれど逃げ出す以外術がなかったのも事実だ。
全ては自分が招いた事態なのだと頭では分かっている。
最低なのも重々承知だ。だから逃げ出すしかなかったのだ。
昔取った杵柄。

船の中ではひたすらに隠し通していた能力を駆使し生きる糧を得る。
そういえばあの時も逃げ出した。
何度逃げ出せば気が済むのだろうか。
ケリをつける事も物事をきれいに終わらせる事も―
キレイでなくともいいのだ。
終わらせる事が出来ないこの曖昧な人間性が
全てを捻じ曲げてしまう。

「やれやれ・・・」
「げっ」
「あんたねェ・・・」

一瞬ではあるが酷く空気が凍てついたような気がして、
そうして気づいた時には遅かった。
既に青キジはそこにいたし
獲物をしっかりと掴み引き摺っていた。

「賞金首です」
「あんたねェ」
「お金ちょうだい」
「そういうのはやめたんじゃなかったのかい」
「生きていきたいの」
「甘えんのはよしな」

賞金首を生きる為だけに狩りを繰り返していた
の危うさに気づいていたのは青キジだけだった。
幼い分尚更利用されやすいの行く末を悲観する事はない。
只この気紛れな娘はふらふらと徘徊する癖を持ち合わせており
すぐいなくなった。
時折名前を耳にする事はあったが
が捕まるとは到底思っていなかった分心配はない。

「逃げて逃げて。あんたはどこに行くのかねェ」
「海の底」
「そりゃ、有り得そうだ」
「あんたがいたら溺れなくてすむのに」

エヘヘと笑いながらそう呟いた
掌にべっとりとついた血を無造作に拭き取る。
この女が何れ逃げ出さなくなれば
どれだけ厄介な存在になるのだろうと、
それを思い青キジは深い溜息を吐き出した。

あたしは青キジ、結構好きなわけですよ。
ほら、ここマイナーなサイトだからさ。
逃げ出した理由はサンジ、ゾロとの三角関係だという
それはそれで最低な話ですけど。