いつなら繋ぎとめることができたんですか

無言の応酬に疲れ切ってしまったわけだ。
日に日に心を押し潰していく高杉を見ながら
この関係の終わりを味わっていた。

戦は終盤に近づくにつれ凄惨さを増していく。
血の味一つに狂喜乱舞する高杉は既に終わっていたのだろう。
しかしそれは自分も同じだ。
高杉も同じ事を思っていたのだろうか。
人を斬れば斬るほど人外の何者かに自身が変貌していきそうで
恐ろしかったがそれでも止める事は出来なかった。
そうしてその最中、高杉は片目を失ったわけだ。

「あ〜のねェ、あんた、ホラ」

「いや、知ってるよ。。俺が名前忘れるわけないでしょうが」
「高杉の具合は」
「あいつがそんな簡単にくたばるわけねーだろ」

失う瞬間の高杉の咆哮が忘れられない。獣の叫びだ。
ほとばしる血を目にしたその時
意識を損失し気が付けば返り血を浴びたまま
この銀時や坂本に押さえつけられていた。
どんな醜態を晒していたのだろうか。
刀は血と油で既に使い物にならなくなっていた。

「それよかあんた」

「そう、はどうなの」
「何が」
「何つーか・・・頭?」

襖一枚隔て高杉が眠る。
ああ、やはり自分は頭がおかしくなってしまったのだと
銀時の言葉で確認し笑った。
正しい心をどうすれば繋ぎ止められたのだろうか。
あの男の片目と共に正常さの片鱗を失った。
だから高杉は死なない。

よく考えたら高杉が一番多いんだよねー
あの、こう昔。昔のお話です。
名前だけ、気持ちだけ坂本を出してみました・・・