誰にも言えない秘密がありますか?

言っているでしょう。言っているでしょう。
言っているでしょう。言っているでしょう。
決して忘れる事は出来ない。決して失くす事は出来ない。
あなたは私の事を忘れる事は決して出来ない。
言っているでしょう。ねえ。




深い眠りから引きずり出されたのは何も悪夢を見たからではなく
ベッドが一度大きく揺れたからだ。
まだ随分頭が麻痺したまま辺りを見回せば
目に入るより先に湿ったシーツに手が触れた。
次にスパイクの腕、胸。大きく波打つ胸だ。
どうやらスパイクが飛び起きたらしい。
珍しく寝汗をこんなにかいているという事は悪夢でも見たのだろうか。
額に手をあてたスパイクは目を閉じ息を落ち着かせている。
どうなのだろう。声をかけるべきなのだろうか。
暫くそのままの状態でスパイクを見ていれば彼はようやく目を開いた。
の視線に気づくまで少しの時間がかかる。

「・・・どうした?」
「どうしたって・・・どうしたの?」
「いや、どうもしないさ」
「凄い寝汗」
「本当だ」

いつもの笑顔で何かを隠したスパイクは
そのまま煙草を吸い眠る事はなかった。

単にスパイクが悪夢を見ている、
それだけの話に!