誰にもいえない秘密がありますかA

只々ぼんやりと甲板に座り水平線を見つめている。
きっと辺りは瞑想しているとでも思っているのだろう、
だから話かけてこない。按配のいい勘違いだ。
今頃は誰と何をしているのだろうか。この狭い船内で。
結構どうでもいい事を考えていると自分でも思う。
息抜きは必要らしい。これは心の。
息抜きでも、生き抜きでもしなければ
億劫で窮屈でやってられないのだ。
俺もお前も秘密を持ってる。


の秘密の片鱗を僅かでも覗けたのは
数週間前の酒盛りの時であり
相当酒の回っていたゾロは何となく覚えている状態だ。
も酔っていた。
だからあんな話を口にしたのだと思う。
盛り上がる周囲を他所に
その瞬間あの場所だけが時間を止めていた。
何故かは分からない。
そうして時間に忘れ去られたのが
とゾロだった、只それだけの話。

「行かなくていいの?」
「お前は」
「動きたくない」
「俺もだ」

そう言い笑ったゾロの真向かいから
左隣に位置を変えたはジンだろうか。
透明な液体を一気に煽った。
癖の強い酒を好みやがると腹の中で笑った。

「夜ってさ、どう」
「どう、って何だよ」
「好きとか嫌いで言ったらどっち」
「考えた事がねェ」
「あたし嫌いなのよね」

夜って言うか暗いのが。
星空を見上げそれでも暗いと呟いた
新しいボトルを探す。
少しだけ、ほんの少しだけ
指先が震えていたように見えた。気のせいだろうか。

「恐いのよ」
「らしくねェな」
「凄い恐い」

笑えるでしょ。
やはりの指先は震えているようだ。
ぐっと握り合わせ震えを止めようとしている。
それにしても(まぁは女だという
カテゴリを抜きにしてもだ)
彼女の口から恐いという言葉を聞く事があるとは思わなかった。
エースとやりあっていたという
よく分からない経緯を持つ彼女は
(そもそもがこの船にやって来たのも
所用があるというエースが諍いの最中
ルフィに託したのだ)同様に能力者らしい。
能力者らしいがエースとの諍いには互いに
能力を使わないという暗黙の了解が成り立っているらしく
身体での勝負となっていた。
故に彼女の能力が何なのかは分からない。
それでもエースと五分五分の力を持っているのだから
力は相当なものだと思われる。

「お前、何やってたんだよ」
「何って・・・ねェ?」
「ルフィのアニキと同じか?」
「似てるけど違う」

あいつらとは全然違う。
強い口調でそう言った後多分、
小さな声でそう付け加えた
それからゾロに絡み始めるし
ゾロはといえばついでのように
昔の事を思い出してしまい
互いに酒をかっ喰らうだけになってしまった。









あの階段から転げ落ちてしまった
彼女の事を思い出しただけだ。
忘れた事は一度もないと思う。
だけれどそう頻繁に思い出す事もなかった。
だから思い出した理由をに押し付けたかったわけだ。
二回以上ヤった癖に何言ってやがる。馬鹿女。


(だけどそれは俺も同じ)

お待たせしました。
唐突に消息不明に陥る輩なんですが
どうします?
これ、ゾロ誕夢らしいですよ(小声で)