死にたいって思ったことがありますか

どいつもこいつも邪魔をしやがる。
それが今まで生きてきて得た答えだ。事実だ。
にとっての。
何かをやろうと動き出せば確実に邪魔が入る。
どんな人生だ。

「・・・何よ」
「何で怒ってんだよ
「あんたが側にいるからじゃないの」
「はは、そりゃねェ」

そう言い笑うエースもその一人だ。

「何で邪魔すんのよ」

あんたも、あいつも。どいつもこいつも。

「邪魔なんてしてねぇさ」
「してんのよ」
「助けてんだぜ」
「勝手にね」
最初の出会いはがいざ死のうとしていた時。
全てに失望し哀しみに暮れ
苦しくて死のうとしていたその瞬間に出会った。









「何で」
「許さないって言ったでしょうよ」
「意味分かんないんだけど」
「アンタは駄目だ、俺は言ったはずだ」
「何でよ」
「野垂れ死にさせたくないから―」

やれやれといった風に
溜息を吐き出す青キジを只見上げていた。
今や海軍のお偉いになった青キジが
何故こんな所にいるのだろう。
挙句この男は昔と何一つ変わっちゃいない。
それが尚苛立つ。

「あんたいつから知ってたの」
「何を」
「あたしの親」
「やれやれ・・・」
幼い時両親を失ったは孤児院で育った。
物心つくまでの間。すぐに逃げ出したのだ。
そうして暫く山に潜み獣のような暮らしを経て街へ出た。
人を傷つけ糧を得た。

「海軍が殺した」
「・・・」
「だからあたしはあんたも嫌いよ」

の話―だけの話ではない。
あの一家の話だ。
あの一家の話はこの街でなくとも有名だった。
まあ青キジ自身もまだ子供の頃から有名だったわけだ。
悪い噂は瞬く間に広がる。元海賊だったらしい。
素行の悪い輩があの一家の周囲を固めだしたのは
いつ頃からだったのだろう。
比較的柔軟な考え方をする青キジの両親は
何かと世話を焼いていたようだったが
一家は余り家から出てこなかった。

「アンタが海賊になりゃあ俺は、」

恐らく普通に付き合える人間というのは
青キジの両親くらいのものだったのだろう。
食料さえ購入するのが不可能になっていたあの家族にとっては。
昔海賊だったという経歴が色濃く残ってしまった。
子供が出来、海賊を引退し陸に引き上げたはいいものの
よくない輩に、じき七武海入りするであろう輩に目をつけられた。
何処へ隠したといわれている財宝が。

青キジが海軍入りする数日前の事だったと思う。
大量に手に入った林檎を持っていった時だ。
青白い顔をしたの母親が
珍しく家の中へ青キジを招きいれた。
は寝ていた。

「殺さなくちゃあいけなくなる」
「殺せばいい」
「余りやりたくないんでねェ」

母親はの話をした。
何れ自分達が殺されるだろうという話もした。
誰に、それは聞かなかった。

「世界政府から目ェ、付けられる」
「何?」
「あんたは生きていけなくなるんだよ」

苛立っているのだろうか。少々語尾が荒かった。
の母親はに悪魔の実を食わせたと言い
あの子が生きていけるだろうかと涙した。

「どういう・・・」
「だから俺は全力で阻止する」

これから先もずっとな。
訃報を耳にしたのは直後の事だった。
の行く末は聞かずあの時の会話を他言した事もない。

本誌にエースが(背中だけでも)出て来た衝撃。
そうして何となく幸先が明るく・・・
お願いですから怪我だけは勘弁の方向で。
青キジ好きだなあ。
青キジの両親て、あんた・・・