一番大切なものは何ですかB

「・・・そんなに見るの止めてくださいよ」
「いいじゃねェか、減るもんじゃねェ」


そもそも一回限りってのはそういうモンだ。
シャンクスはそう言い笑う。


「あんたはあんたでご開帳ですか」
「見た事ねェわけでもないだろ」


いいから来いよと呟いたシャンクスは酷く自然で
以前からこういう関係だったのだろうかと錯覚さえ覚えた。
ペタペタと足音をたてながら寝具へ向かえば
シャンクスが煙草を消した。
足を乗せればグンと沈む寝具は白いシーツに彩られている。
その上にシャンクス。
のろのろと身を寄せればシャンクスが少しだけ笑った。
つられても笑った。


「さーてと、やりますか」
「何です、それ」
「さぁなぁ」
「やましさがまったくない」
「やましくなんかねェさ」


繁栄の為に避けちゃ通れない行為だぜ、神聖だ。
そう言うシャンクスを跨ぎ何となく見下ろした
既に暗くなった外に目を向ける。
シャンクスから視線を上げれば大きな窓がある。
外は雪さえちらつく。


「腕、どうしたの」
「仲間にくれてやったのさ」
「へェ」
「別に、片手でもお前にゃ触れる」


シャンクスの掌が腰から太ももにかけてのラインをなぞる。
少しだけゾクリとしたが緊張はしていない。
それは諦めているから。
どうせこの部屋にはとシャンクスしかいないのだ。


「そんな価値はないわ」
「価値なんてのは他人が決めるもんだ」
「がっかりするわよ」
「後悔はしねェ」


俺は、絶対に。
シャンクスの自信はどこからくるのだろう。


「泣きそうな顔なんてするもんじゃねェぜ」


ヤる前から。
シャンクスはそう言いせめてもの慰みだろうか。
明かりを消した。

力尽きた結果がこの半端な仕上がり