頭の中がまず真っ白になりそれから先の事はよく覚えていない、
なんてよくある話だ。
脳内麻薬がやたら分泌されているものだから
痛みさえなく普段以上に滑らかだった動きに感銘さえ覚えた。
殴る。蹴る。仕方がない。何故。
聞かれたって分からない。分かる必要もないだろう。
どの道 に言ったところで分かってくれる道理もないわけだ。
だから言わない。面倒になるから言わない。
だって、お前は泣くじゃねーか。

「今日はやけに携帯ば見よるね、クロサー」
「!」
「何か用事のあるとか」
「何でもねーよ」
「そういや ちゃんはどがんしとるとか」
「あ?」
「センター街で見たち、ありゃ男連ればい」
「何だそれ」
「マメじゃなかぎそら浮気もされるくさ」
「ふざけんな」

僕らはいつも模倣狂気を演じてるから、
それは全て仕方のない事だと笑ってくれるだろうか。
まったく違う世界で生きているんだと
いつか理解してくれるのだろうか。
きっと無理だと頭では分かっている。

九虎里の言う事を全て信じたわけではないけれど
何となく引っかかっていたのだろう。そう思う。
に連絡を取り会う約束を取り付けた。
彼女の反応はとても普段通りで快諾。
センター街の入り口にある某コーヒーショップで待ち合わせた。









「お前、浮気してんの?」
「は?」
「どうなんだよ」
「いや、してないし。突然何なの?」
「・・・」
「って言うかあんた放任しとくだけしといて久々会ったらそれなの?」
「してないんならそれでいいんだけどよ」
「一月殆ど連絡も取れなかったのよ?」

の言う事も最もだと思いながら
氷の解け始めたカフェラテを飲み込む。

「分かってて付き合ってんじゃねーのかよ」
「・・・」

だから、これも許してくれだなんて思わない。

そら浮気もされるわクロサー・・・。