腐った町並みを歩く。
腐ってはいるが自分に酷く似合った場所だと分かっているからだ。
格子の向こう側には色を失くした女達が斜めの視線を向けている。
生気はない。
やたら心地いいのは皆死んだような眼差しをしているからであり
助けさえ求める事が出来ないでいる。
弱者だ。弱者を見ているからだと知っている。
「あんた又来たの」
「上客だ」
「何しに来たのよ」
「やる事なんて決まってるじゃねぇか」
無粋な女だぜ。高杉はそう言い笑った。
ぼんやりと灯篭の灯りがの顔に翳りをつくる。
微かに舌打ちをした
は高杉に背を向けた。
「最近、悪い薬が出回ってるんだけど」
「ほう、そりゃ風情だな」
「流したのあんたね」
「言いがかりか?
」
この界隈を取り仕切るこの女の怒りに触れた。
気持ちがいい。
怒る女が好きだ。
自分の心全てを曝け出すその瞬間が。性感帯だ。
「客に背、向けるもんじゃねぇな」
「帰って頂戴」
「斬り捨てられても仕方がねぇ」
「晋介」
「手前さんからは何色の血が出るのかねぇ」
「あんたと違って真っ赤な血さ」
簪に手をかける瞬間、
の細い手首を握り身を引く。
憮然と高杉を見上げる
の目にはまだ生気があった。
何れ全て奪ってみせるさ。
何か、高杉が変態みたくなっちった