神の退化したを拾う

おかしな娘だと呟き笑ったγは窓際のロッキングチェアーに揺られている。
室内は煙草の匂いでむせ返るようだ。
指名されたはいいものの何故指名されたのかさえ分からない
居場所を捜していたのだ。この室内において。


天井のファンは回り乾いた音を響かせている。
まるで古いラブホテルのようだと思った の感性が少々ずれているのだろう。
夕食にはローストビーフを喰おうと一人楽しそうなγは言っている。
余り食事に感心のない は恐らくそれは肉なのだろう、その程度の認識で抑えた。


どうにも先ほどからγが一方的に話しているだけなのだし、
彼は の返答を待っているわけでもないらしい。
仕事は明日だから前ノリで、γの提案により一日早く降り立つ事となった。
何故同室なのか。そう問えば色々と便利だろうと笑いながら言う。
からかわれているのだろうと知っていた。


「なぁ、 はどうしてウチの部隊に入ったんだい」
「・・・まぁ、紹介で」
「紹介って、バイトじゃないんだから」
「他にやる事もなかったし」


野猿の連れ。紹介はそんな言葉だった。
確かに野猿により紹介された はそのまま野猿と同じ部隊に配属される。
あの二人は昔から知っていた為馴染むのは早かった。
悪い遊びばかりを繰り返していた連れだ。


「お前位の年の娘は、もっと他に楽しい事があるだろ」
「現状に不満はないですよ、あたしは」
「愛し愛されな、 。そして幸せに―」
「柄にも無い」
「俺はお前の幸せを願うってのに」


笑いながら言う。


「何でこんな話を―」
「こういう時じゃないと話せないしねぇ」
「あんたは、どうなんですか」
「俺?俺かい?俺は―」


迂闊な事を口にしてしまったと後悔するには遅すぎたようだ。
γの気配は濃くなる。影同様こちらに伸びる。
道理のない事だとは分かっていてもγの気分次第で自在に動いているようだ。


「俺も今で十分だ」


お前と一緒にいる今で。
やはりγは笑っている。こちらを見ないままで。
だからあえて返事をしなかった
詰まらない時間をやり過ごす為にベッドに寝転び天井のファンを見つめる。
目を閉じればγの吐き出す煙ばかりが香り耐え切れず又目を開いた。
気配も出さずベッド脇に立っているγと目が合い、微かに息を止めた。

挙句の果てにγまでという。
γ、いいよねー