八百万(やおよろず。たくさんという意味)

物を大事にしなければならないという旨の話(というかあれは説教に近い)
を受けた とムゲンは(要はジンに怒られていたという事だけれど)
互いに山ほどの破損物を見ている。
ふうとムゲンは出かけてしまった。
兎も角何かに付けて喧嘩を繰り広げる とムゲンに辟易したのだろう。

「・・・ジンに怒られちゃったじゃない」
「知るか」
「ふうも出て行っちゃったじゃない」
「テメーも付いて行きゃいいだろ」
「だって、怒ってるんだもん」

囲炉裏の前で膝を抱えた は詰まらなさそうにそう呟いた。
この馬鹿はどうしてあの馬鹿(主にジンや)
あの馬鹿(主にふう)にばかり気持ちを向けるのだろう。
その気配りを少しくらいこちらに向けてみろと思うわけだ。
戻って来るまでに部屋の中を片付けておけと言われた事を思い出し
ムゲンは何となく体を起こす。

「・・・片付けねーのかよ」
「やってよムゲン」
「あ?」
「嫌だもん、あたし」
「オメー・・・殺すぞ」

口にし又やってしまったと後悔する間もなく
が刀を抜き挑んでくるものだから、
だからムゲンは又辟易とするわけだ。

「オメーは何で俺にばっか突っかかって来るんだよ!」
「あんたがいっつも突っかかって来るんでしょう!?」
「あーあれだ、又ジンに怒られっぞ」

最も使いたくない言葉を使わなければならないムゲンは
この女、 をそれこそどうにかしてやろうかと思う。

ふと顔を上げれば 越しの入り口に二つの影が浮かんでいたわけで死にたくなった。

ムゲン空回りの回。
ふうを出したのは初のはず。