阿呆のように交え汗をかきそうしてひと段落。
屋内だろうが屋外だろうが大して差はないのだ。
ここがどこだろうと少しも厭わない。
柔らかな草が頬に刺さりそのまま視線を合わせる。
少し離れたところに湖があった。
「興奮しちゃった」
「あれ」
「?」
「何かいるわ」
やっている最中から辺りに薄い紫の霧が漂い始めていた。
ぼんやりと揺すられながら夜空を仰いでいたは気づいていたし、
猛々しく喰らっていたヒソカも気づいていただろう。
気配を隠すのが余り上手な客ではないようだ。
しかしそれでも不意撃ちして来なかった分まだマシなのだろう。
マシ、というか利口だ。恐らくヒソカはそれを待っていた。
荒い息の奥、熱を帯びた眼差しはを見ていなかっただろう。
「どっちの客かしら」
「・・・の恋人じゃないの?」
「・・・どの?」
「・・・」
これは夢だろうか。何が夢だろうか。
ヒソカと出会ってから今まで、
それが夢なのか現実なのかが分からない。
只一つはっきりと言える事は
このヒソカという男が今の今までの恋人を
一人残らず殺していったという事実だけだ。
殺し終えた後―用は事後承諾だ。
彼は一言、相応しくないと告げる。
特に気落ちする事もなくなった。
何一つ特別な事ではないのだ。
「一戦交えて一戦交えるつもりだったのに」
「あんたとやり合うのは御免だわ」
「に選択肢はないんだよ」
「据え膳喰わぬは恥ってわけ」
「そ」
だから大人しく待ってて。
ニヤリと笑んだヒソカはゆっくりと身を離し立ち上がる。
素っ裸のままで。
これはもう自分が何を言っても無駄だと踏んだは
もう一度夜空を見上げた。
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僅かばかりの憔悴と拭い切れぬ高揚感。
そんなものを背負いながらこちらへ歩み寄るヒソカを見る。
これはもうやり合わないわけにはいかないだろう。
「服、着ていい?」
「ボクはそのままがいいけどね」
「あんたも服、着てよヒソカ」
どちらが勝つかは分からない。
ヒソカが待ち、それこそ待ち焦がれ希望通りに力を得たは
もしかするとヒソカ自身を地獄へ連れて行ってくれるかも知れないのだ。
幼い頃から、要はヒソカがを見つけてからこれまで。
そうしてお眼鏡に適ったその日からこれまでの間は痛み分け―
「忘れないよ、キミの事は」
「あたしは忘れるわ」
「さぁ、始めようか」
ぐっとヒソカの気配が大きくなる。
やれやれと溜息を吐きながら立ち上がったは
幾度目ともあるであろう、先の知れた戦いを見据えた。
何をしているんだ・・・