妙な気持ちだ。未だかつて感じた事のない気持ち。






背徳感が最も近いと思う。
目の前の幼い売女は馴染み切れない下卑た服装に身を包みγを迎え入れる。
まるで女王様を敬うように爪先から口付けを。
その扱いを当然だと言わんばかりにγを見下ろす。


そこから一歩でもあたしに近づいたら駄目よγ。
彼女はよくそう言う。そうして何故だろう。γもそれに従うのだ。
リードは全て彼女任せ。
そう上手いわけではないのだろうに、何故か感覚が敏感になる。
全身が性感帯、それだ。


「触っちゃ駄目よγ」
「あぁ」
「あたしに何か言っても駄目、あたしに触っても駄目。どうしてここにいるのよγ」
「お前が好きだからだよ、


それ以上の言葉は言わない。無理に飲み込んでいる。
言えないからだ。言えばがいなくなってしまうかも知れない、という奇妙な恐れ。
きっと考える必要性はない。金さえ払えばいつだって会えるのだ。


「あんたからは血の匂いがするわね」
「そうかな」


きっと何も知らないとは思う。
自分の話をした事はないし、こんな場所で素性を漏らす必要性は微塵もない。
彼女の生活はγ異常に荒れているのだろうし(見た事もないが)
今γの目前にいる彼女が本当の姿だとは思わない。


「あんたがくれる花、ちっとも枯れないわ」


気味が悪い。
爪先から舐め上げるように視線を上げと視線を合わせる。
申し訳ない気持ちと満足感、そんなものを得ている自身が情けなく愛おしい。
が腰掛けているベッドの周囲にγが送った花達が無造作にばら撒かれている。
一目見た時に贈ろうと思った花だ。
研究室から失礼した薬剤を一振り、故に枯れない。
害はないだろう。恐らくは。


「お前みたいだろ」
「そう?」
「そうさ、お前は枯れない」
「・・・」
「俺の中では」


その物語は誰にも知られることはなくγの心の中で絶えていく。
それでいいのだ。
の眼差しが一人にしないでと告げていても
彼女が口にしないのだからどうする事も出来ない。
それは詭弁だ。責められながら彼女を責める。分からないやり方で。


「なぁ、今度は何を持って来ようか」
「何を持って来てくれるのγ」


虚ろな眼差しでそう呻いたの細い首が震えている。
腕を伸ばしぐいと掴めば折れてしまうだろう。
気づけばの首に向かい腕を伸ばしていた。
彼女の冷たい眼差しが指先から伝わった。

私はγで・・・
一体何を書いているんだ・・・