今にも死んでしまいそうな眼差しを向けながら口を開く。
酷くずるいやり方だと分かっていて、
それでもそんなやり方しか知らないものだから。
これまでの人生なんとなくそんな感じで生きてきた。
何故だろう、どうやら余り幸せそうには見られないらしく、
悲しそうだとか辛そうだとか、
それこそ心に何かしらの傷を負っているんじゃなかろうか、だとか。
皆想像力がたくましいもので都合のいいように解釈をしてくれるわけだ。
サンジもサンジで訂正する事なくそのままにしている。
他人から見た自分なんてものは総じて自分が認識している自分と違うものだし、
都合よく解釈してくれるのならばそれはそれでいいではないか。
「お預けって、なぁ、
」
「お預けって何よサンジ」
「あんた知ってんだろ、俺は―」
「あたしはあんたのお遊びに付き合ってる程暇じゃあないの」
にも係わらずこの
という女は勘違いさえせず
サンジという生き物をありのまま受け入れているものでこちらに気を寄越さない。
妥当だ、それがマトモだとは思う。
それでも勘違いをしてもらわなければ先へ進めないのだ。
「誰かいるわけ?あんた」
「え?何?」
毎度の事ながら曖昧に交わされ
はどこかへ消えていく。
恐らくいるのだと思う。
それが恋人だとか、そんな形ではなくとも誰かがいるのだ。
もっと性質の悪いものかも知れない。
何となく何処かへ出かけたくなってしまった
(というよりはそこにいたくなかったのだ)
サンジはこれ又何となく途中で出くわしたロビンを酒を飲みに行くかと誘う。
気づいていない。何が浅はかさを露見させるのかを。ロビンは快諾した。
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楽しい酒を飲む為だけにロビンを誘い、
確かに両者他意はなかったものだから酒を飲むだけで終わりだ。
ロビンはとても利口だし色恋沙汰を楽しむタイプでもない。
そもそもサンジがそういう対象ではないのだろう。
夜更けまで飲み明かし目前のロビンを
口先だけ口説いている自身に気づいたサンジは
まったく、こいつはどうしようもない野郎だと笑った。
ある種礼儀のようなこの行為に別段気を悪くするわけでもないロビンは
サンジの心の内なんてとっくに見透かしているのだろうし、
まあこういうやり取りは頭を使わない分楽だ。
こうやって果てなく踊らされ続けるのだろうと思う。
自身の罪だとは決して思わずに。
「―あら?」
「どうかした?」
「ホラ、あれ。
じゃない?」
バーの外、窓越しだ。
が歩いている。
「あぁ、
だ」
確かめるように呟いた。
そんな
の隣にいるのはまあ、見た顔でありサンジは笑う。
もう一度笑った。
現実を、事実を見たところで大差ないのだ。
心は変わらず果てない欲さえ変わらない。
なくなる事がない。何故だろう。
今確かにこの両目で見ている光景に何ら不審な点はないはずなのに。
認めたくないわけではない、動じないのだ。何故。
「あらあら、どうするの?」
「どうって・・・」
やけに楽しそうに言うロビンを見ながら性質の悪い遊びだと思う。
を手に入れられれば満たされるのだろうか。そんな期待は持てない。
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「あんたって案外しつこい男よね、サンジ」
性懲りもなく同じ事を繰り返すサンジに対し
がくれた言葉だ。
さり気なく避ける素振りさえ許せず腕を掴めば
の目が真っ直ぐにサンジを貫く。
「手に入んねぇから」
「何?」
「あんた」
「え?」
「焦がれて焦がれて、苦しくて堪んねぇから」
俺がそのままでいたいから。
あぁ、
おぼろにもしたたかに流る銀河かな
サンジがやたら打たれ強く尚且つ妙な感じに。
ロビンは一体・・・