少しでも触れれば、

全身が総毛立つ程冷えた壁が好きだ。
石で出来た城は生きておらずそれが好きだ。
只そこに聳え立つだけの存在。
暖は暖炉で構わない。灯りは蝋で構わない。
使用人は目に付かなければそれだけで構わない。

それなのに従順な奴は好きでない。
言う事を聞かなければ仕置きすればいいだけの話であり、
だから今日もは牢にいる。
愛しているから。

XANXUSは一人薄暗く長い階段を下りる。
この間がとても楽しい。笑みを抑える事が出来ない。
悪趣味だと言われる。そんな事は分かっているのだ。
下れば下るほど冷えが増し残忍さが増す、この城の残忍さが。

「・・・よぉ」

この瞬間だ。
闇の中耳を澄ませ息を潜めているの目がこちらを捕らえる瞬間が堪らない。
格子の向こう側に薄い毛布に包まったがいる。
確か理由はが無粋な眼差しを向けたから。
細い首に手をかけたあの時必死に抑えた自身。
これだけはなくしてならない。代わりがいないからだ。それが惜しまれる。
何故には代わりがいないのだろう。

「・・・いっそ殺しなさいよXANXUS」
「意見出来る立場か?なぁ」
「もう耐えられない」

あんたの側にいるのはもう耐えられない。
毛布の隙間から除いたの腕は白く細く、
容易く折れてしまいそうで目を突く。

「明日、人前に出るぜ」
「だから何」
「お前はお人形さんになるんだ」
「―」

又か。だっただろうか。
悲痛なの叫びとは裏腹に彼女は毛布を捨て
XANXUSに掴みかかろうと飛び掛ってきた。
格子を蹴る音と共に細い腕が伸びてくる。
彼女の自我を壊してしまおう。完璧な人形を作る。
届くわけがない。の指先がXANXUSに届くわけはない。
伸ばされたの腕を掴んだXANXUSはそのまま顔を近づけ、
悔しいか悲しいか、どちらか分からないが溢れる涙を舐める。

「心底愛するってのと殺してぇってのは同じなんだぜ」

どっちも俺のものになる。XANXUSは言う。

「俺がお前を殺さねぇのはこの俺もまだ生きていかなきゃならねぇからだ」

を喰い糧を得る。代わりがいないからだ。
お前以上の糧など。

初XANXUSです。
彼を誤解している気がすごくしている。
きっと誤解してるんでしょうけど(毎度)