「・・・どうした?」

枕元に置いている携帯に手を伸ばせば時刻は四時過ぎ。
目覚めるには些か早すぎる時間帯だ。
隣でぐっすりと寝入っていたはずの が寝返りを打ち
体を起こした時に目覚めてしまった世良は
彼女がタバコに火をつけるのを見計らって声をかけた。
恐らくまだ寝ていると思っていたのだろう。
は随分驚いていた。

「起こしちゃった?」
「あぁ」
「寝てていいよ。目、覚めちゃっただけだから」
「何だよ。怖い夢でも見たってのか」
「ガキじゃあるまいし」
「ガキじゃねぇか」

世良がそう言えばすぐむきになる
彼の言うとおりやはり子供なのだろう。
悪かった、怒るなよ。
そう言いながら世良が笑う。

「学校で何かあったのか」
「・・・何で」
「図星だろう」

一瞬黙った は膝を立て顔を埋める。
どうして女ってやつは他愛もない事で揉め、
挙句の果てにその解決策が少ないのだろうと思う。
少々口を滑らす癖のある はいつもトラブルに追いかけられている。
気にしなければいいもののそうはいかないらしい。馬鹿馬鹿しい。

「あたし、いっつも誰かを傷つけてるらしいよ」
「筆頭は俺か?」
「もう!」
「くだらねぇ事考えてんな、又」
「全然くだらなくないし」
「知ってるか? 。婚前交渉ってのが罪だった時代もあるんだぜ」

そいつに比べたら大した問題じゃねぇ。
を捕まえた世良はそのまま彼女を布団の中に引きずり込んだ。
メガネを外した世良は少しだけ、ほんの少しだけだが幼く見える。

「な?」
「・・・」
罪はリビドーに帰る。

彼は性欲という単語が非常に似合わない。
メガネを外した世良を真剣に考えてましたよ