唯一、唯一の存在だ。自分にとって唯一の存在。
思う言葉は只一つ、美しい。それだけ。
まだ力及ばないと知っている相手でもあり手を伸ばせない相手だ。
そんな相手、
が今目の前にいる。
三ツ星以上のホテル、そのスウィート。
気が知れたのだろうか、こちら側の思惑が。
しかしそれが知れたところで
がどうこうする必要はない。
まるで動じる必要性もない。今までもそうだった。
恐らくXANXUSの気持ちは知れている、とっくにだ。
では何故。
細く長い煙草を指先に挟んだままこちらに背を向けている。
今の今まで目を合わせる事が出来なかった理由は知らない。
「何の用だよ」
「相変わらずの口の利き方ねぇ」
「・・・」
座ったら。
肉食獣の眼差しだ。こちらに向けられたグレーの眼差しは。
うざったい程の赤い唇に視線を合わせる。
「あんたがあたしに会いたいって言ってるから、呼んであげたのよ」
「誰が」
「あんたと二人っきりなんて、そうないじゃない」
「何の用なんだ」
苛立ちが語尾に出る。
の掌がXANXUSの掌に重ねられ咄嗟に払いのけた。
何しやがる。思わず吐き出した言葉だ。
顔が赤くなっている、それに気づき口元を押さえた。
語尾も微かに震えていたから。
はじっと視線さえ逸らさずこちらを見ていて、だから余計にだ。
とって喰われそうなイメージ、まさか己が獲物に。
「何?」
「うるせぇ」
「どうしたのよ」
「うるせぇんだよ」
生まれて始めての高揚感、そうして全身の産毛が総毛立つ。
踏み出した事のない感覚だ。この先には一体何があるのだろう。
踏み出すか踏み出さないか、どちらの選択が賢いのだろう。
「悪いけど、今日を過ぎたら二度と会えないのよ」
「あ?」
「明日付けで追放されるの」
唐突に放たれた
の言葉はまるで耳に入って来ず、
彼女の説明さえ理解出来なかった。
古い家系の末裔である
が何故追放されなければならないのか。
「何で・・・」
俺に話した。
の返答は笑顔、それだけだった。
結局その言葉の通り
の姿は消えた。
それと同時に
の派閥も一斉に姿を消し存在を消される。
最初からまったくなかった事にされた時点でようやく恐ろしさを感じた。
大きな力が動いたのだろうとは察せたが何が起きたのかは分からない。
生きているか死んでいるのかが分からない状態に陥った。
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銃なんて子供の玩具を弄び追い詰める。
場所は思い出の場所、古城。
随分荒れ果てている理由は略奪者達の応酬だ。
数年前までは人々が入り乱れ普通に生活が営まれていたとは微塵も思えない。
影が微かに揺れる度にそちらへ弾丸を撃ち込む。
壁が削れる音と足音だけが響き渡る。
どうせ追い詰めるだけだ、追い詰める為だけに銃を使う。
殺す気なんて微塵もない。
こんな玩具で殺せるわけもないと思っていたし、
それでは余りにつまらない。
ようやく見つけた獲物だというのに。
この古城をつい先日購入した。
部外者が一切侵入出来ないように有刺鉄線を張り巡らせ
ちょっとしたトラップも仕掛ける。
今日ここへ足を踏み入れる際、
間抜けな侵入者がトラップにかかり死んでいる姿を目にした。
「うっ!」
小さな呻き声が聞こえ思わず反応してしまった己に嫌気が差す。
壊れた暖炉の向こう側の壁、そこにいる。
「もう仕舞いか」
「XANXUS」
「お前はここで死ぬんだ」
その為に買い取ったようなものだ。だけれどそれは言わない。
「どうして、今更」
の言葉が小さく震えている理由は空しさだろうか。
痛みや怖ろしさ、そんなものが理由ではないだろう。
細い足が覗いている、姿形はどのように変わっているのだろうか。
少しだけ高揚した。一歩踏み出す。
「・・・何なのよ」
「―――――
」
落ちぶれ負われたはずの女は昔とまったく変わらない姿でそこにいた。
以前気に入らなかった手入れの行き届いた部分だけが
根こそぎ抜け落ちそれでも消え失せない美しさ。
記憶の中だけでの
そのままだ。
黙ったままの体内に心音が木霊する。
眼窩に血流が集っていくようだ。
「―は」
何故か分からない、確かなのは酷く気分が高揚しているという事。
それだけ。
気づけば声高々に笑っていた。
気分がいい、これは最高だ。何よりも。
怯えた表情を隠さない
はすっかり抜けきってしまったのだろう。
余りに異質な目の前の男を恐れている。
それさえもどうだ、素晴らしいショーだ。
足を撃たれうずくまった
に近づき顎に触れる。
微かに開いた唇が何かを呟きかけた。
そのまま馬乗りになり肩を撃った。
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あぁ、だったかどうか。
兎に角
が喉を晒し呻き声を上げた。
これで
は逃げられない。
細く白い腕がみるみる内に赤黒く染まった。
何故だろう、愉しくて愉しくて堪らない。至極愉快だ。
手を伸ばしたくとも伸ばせなかった女は今ここに、自分の下にいる。
勢い良く衣服を破けば
の眼差しが微かに昔の色を取り戻した。
いい目だ、そう思う。
その目のままで最期までやらせてくれよ。
晒された喉に噛み付き味わうように舐める。
のまだ自由に動く左手がXANXUSの右肩を掴んだ。
爪が食い込む。
「何、何なの!?」
「何、じゃねぇよ」
「XANXUS」
「何だよ、只の女じゃねぇか」
過去の自分を嗤う。
「―っ」
見る見る内に身体が火照る。酷く興奮している。
当たり前のように鎖骨から胸元へ舌を動かし乳房をきつく掴んだ。
が痛みに顔を背け歯を食い縛る。
寒さで立った乳首を舐めれば何かが弾けた。
急くようにベルトを外す。
「―逃げやしないわよ」
「あ?」
「がっついてるんじゃないわよ」
頬を張る。
の足がXANXUSの腹を蹴った。
もう一度撃ち抜こうかとも思ったが止める。
今この状態ならば互いに毒を喰らい死んでも構わない、そう思えた。
の胸が上下している。
「最期にあんたを抱いてあげるわ、XANXUS」
「はっ」
「ねぇ、坊や」
嗤う、嗤った。気が違える程嗤った。
も笑っていたように思える。
左手をXANXUSに向けた
はまったく昔と変わっていない。
その手を取り指先から口付けを。
そのまま
に覆い被さり額にキスし髪を掻きあげる。
「相変わらず、口下手ね」
「お前は喋りすぎなんだよ」
「早くやらないと、死んじゃうわよ。あたし」
「あぁ」
半開きの唇に口付ける。命を消すキスだ。
前戯もなしの挿入に
の身体を労わる必要もない。
XANXUSの性器を押し返すような
の体内に無理矢理侵入。
リク@56さんへ。
XANXUSの裏めかグロというリクだったんですが、
まあどっちつかずというか半端な感じに・・・
むしろXANXUSは下手なの?という余計な疑惑が(マジでか)
というのは必死の冗談です(土下座をめり込ませつつ)
遅くなってスイマセンでした。そうして有難う御座います。