ふざけるんじゃないわよと吐き捨て手にしたグラスを投げつける。
激昂しやすい性質なのだろうか、ぼんやりとそんな事を考えていた。
あんたは約束一つ出来やしないじゃない、
そう言われてもそれはお前も同じだろうと思うだけだ。
グラスを壁に投げつけた
は手持ち無沙汰に数歩動き、
一旦部屋を出ようとしたがやめたらしい。懸命な判断だと思った。
頭に血が上った状態で行動を起すのは賢くないやり方だ。
「おいおい
、少しは落ち着いたらどうだ」
「何が」
「そんなにイラついてちゃあ何もいい方に回らないぜ」
悠長に煙草を吸いながらそう呟く。
心だとか気持ちだとか、そういった類のものには何の力も通じないのだ。
完全に無力化する。
それを知っているからこそドフラミンゴは言葉でのやり取りを好まないのだ。
そんなものはこれっぽっちも信用出来ないと言う。
まあ、それはそれで一理あるとは思う。
「そんなにあたしの言葉は信用ならないの」
「するだけの価値があるって、手前はそう思ってるのか」
つくづくお目出度い女だぜ。
口元を歪め笑う癖さえ目に付く。
ドフラミンゴという男はそういう男だと知っているのに、
なのにどうしてこのままじゃいられないと思ってしまうのか。
変える事は出来ないと分かっているのにだ。
酷く気分屋なところも、それでいて計算高いところも。
似ているとは思う。
「それはそうと、最近どうなんだ、
」
「どう、って、何が」
「誤魔化してるんじゃねぇよ。赤髪に会ったろう、お前」
「あんた、張ってるわけ?あたしを」
「フ、」
ドフラミンゴの言う通り先日
は赤髪―シャンクスに会いに行った。
特に用はなかったのだが、まあ顔でも見せておこうかと思っただけに過ぎない。
シャンクスからの要望もあった。
久々に顔を見せれば盛大な酒盛りが始まるわけで、
すっかり上機嫌なシャンクス相手に
僅か辟易としながらその場をしのいだ記憶がある。
翌日、目覚めれば隣にシャンクスがいた。記憶は一切ない。
どうやら船長室らしいと気づいた時には強烈な二日酔いが
を襲い、
シャンクスがどうだとか考える暇もなかった。
又ベッドに逆戻り―次に目覚めたのは夕方だ。
シャンクスはまだ寝ていた。
「で、どうだった。あの男は」
「どう、って」
「いいや、別に」
「あんたの方が具合がいいわ、って言ったら?」
「そいつは、光栄だな」
。
ソファーに持たれかかったドフラミンゴが欠伸を一つ。
微かに残っていた罪悪感も消し飛んだ。
どの道本当の事を何一つ喋らない相手なのだ。
この男も自分の知らないところで何をしているか分かったものではない。
自分を基準で物事を判断するからだろうか。
「・・・バカみたい」
あんたの事なんかで振り回されて。
そう呟く。
余裕が事切れない男に対して一人焦っても同じ。
ねぇ、あたしの事愛してるの?そう聞く愚行と何ら変わらない。
言葉を信用していないこの男は容易く口先だけで愛していると吐き捨てるだろう。
何故なら、あたしも同じだから。
「まぁ、どうせ手前も俺も独りぼっちだ」
「そうね」
一人は嫌な癖に一人になる事をこんなにまで恐れている癖に―
「どっちが欠けても同じでしょう、どうせ一人なんだから」
「フ」
本当にそう思ってるのか、
。
ゆっくりと足を組みかえるドフラミンゴを只ぼんやりと見ていた。
どちらかが欠ければ終わってしまう、
そんな子供の戯言を何かの支えにしているとしたら、
この男は相当の大馬鹿者だ。
「・・・どちらかがなくなる前に、手を打たねぇとな」
リクAmomoさんへ。
ドフラミンゴいうリクだったんですが、
何故だか背景がちっとも掴めないという・・・
むしろシャンクスじゃないの?と。何故。
お前は何故シャンクスを登場させたのかと。
遅くなってスイマセンでした。そうして有難う御座います。