それにしたって余んまりにもそれは悪趣味過ぎるだろうと
他人事のように思ったのは当事者が自分、
そうしてドフラミンゴだったからだ。
あの男が絡めば全てが第三者的、余りに他人行儀に思える。
いざ腹を刺されても同じだろう、
刺されているのは自分だとしてもやはり
他の誰かの出来事のように認識する。
要は何もない地上で溺れているのだ。
息が出来ずもがき必死に安全な場所を探している状態に過ぎない。
それもまあ大海原の真ん中では叶わぬ夢であり、必然的に死さえも免れない。
そんな事はドフラミンゴに出会った時点で理解しておくべき事柄だった。
理解出来なかったのは何もが間抜けだから、
そういうわけではないのだ。
昨晩もこちらがシャワーを浴びていれば
ギィとドアが開きドフラミンゴが立っていた。
唐突な出来事に理解は一切及ばず首だけで男の姿を確認したは
只々水飛沫を浴びる事しか出来ず、湯気ばかりが隙間から逃げ去る。
おっと、こいつは失礼したな。
表情の読めないドフラミンゴは確かにそう言いドアを閉める。
ここまで気配を感じる事が出来ない相手であれば敵う道理がないと知っていた。
十二分にシャワーを浴びバスルームから出ればそこにドフラミンゴはおらず、
交通事故にあったようなものだと思った。思わざるを得なかった。
そうして向かえた今日だ。
ドフラミンゴ直々に出迎えた局面。
「…何だって?」
「…」
「おい、。手前は今、この俺に何て言った?」
「ドフラミンゴ―――――」
唯一の、にとって唯一の誤算といえば
ドフラミンゴの思いが存外真摯だった一点に尽きる。
そうしてそれを受け止めきれていなかった事実。
プライドの高いこの男の自尊心に泥を投げつけた。
この後の展開が読めない。
嘘を吐く事に罪悪感は一切覚えないが、
これまで吐いてきた中でも最も駄目な嘘を吐いてしまったと後悔した。
どうにか上手く誤魔化せるだろうか。ドフラミンゴ相手に。
「。手前はちっとも、これっぽっちも分かっちゃいねェ」
この俺の気持ちを。
大袈裟なジェスチャーでそう言うドフラミンゴは
やれやれと溜息を吐きこちらを見る。
「アイツの所にゃ行かせねェ。分かるよな、俺の言ってる言葉の意味が」
「ちょっと」
「これから先もずっと、手前がアイツが死ぬか。
どっちが先かは分からねェが、二度と会わせねェ、俺はそう言ってんだ」
「一体何の権利があって―――――」
余りに横暴な態度に思わず声を荒げれば辺りの空気が一斉に張り詰める。
これは余りに悪趣味な展開だ。
いっその事殺してくれよと願う程には。
こちらの意見など一切くまれない。
結局は力で押さえつけるだけの癖に。
眉間に皺でも寄っていたのか、
の動揺に気づいたドフラミンゴは
又しても大袈裟な溜息を吐き猫なで声で囁く。
なぁ、。この俺の頼み事じゃあねェか。
俺の為にここにいてくれ。
骨ばった大きな手が肩に置かれドフラミンゴが顔を覗き込む。
この男相手に唯一楽になれる状況といえば沈黙他ならない。
が黙れば反論なしと判断するドフラミンゴは満足気に笑った。
あんたが欲しいのはあたしじゃあなくて
物言わぬお人形さんなんじゃあないの。
そう言いたかったが言えず、只これは余りに悪趣味だと溜息を吐いた。
久々のドフラミンゴ。
主人公が会いに行こうとしていたのは
何となくシャンクスという事で。
きっと賢いドフラミンゴは先読みが得意だろうと。
という事は主人公とシャンクス間には
何かしらの関係がなければいけませんね。
七武海からも嫉妬されるシャンクスはスゲエ。
ないしは青キジね。どっちがいいだろうか。
しかし、このドフラは…最早ストーカーとかだろ