とても怖い夢を見ました。








だからといって何かを奪われるわけではないと思っていたのだ。
こうして時間をやり過ごし、手に取れるわけでもない満足感を得る。
消費される為だけのものだから、形に残す事は諦めた。


仮に何らかの形で残ったとしても、後悔に繋がりそうで恐ろしくもあった。
それだけの為に生きているわけでもないし、そもそもが真実の無い男だ。
等間隔の距離に安心していたが間抜けだったのか。
まあ、それも今更考えるには多少、遅すぎる一件となる。


「お前、これからどうするんだ」
「…何?」


発端は、この男がこれまでの当たり前を前触れなく壊した事になる。
どちらかが言い出したわけでもないが、
この部屋以外の出来事はあってないようなものだった。はずだ。
現実に存在はするが、触れられないもの。
いつしか、そういう扱いになっていた。はずだ。
なのに、何故。


「ああ、余計な勘ぐりはよせよ。単なる興味だ。それ以上でも以下でもねェ」
「…変わらないわよ」
「…ふうん。急に、何なの」
「別に」


この男が現在、巷を騒がせているルーキーだという事は知っている。
それより以前からこういう関係は成立しており、何ら疑問を持たずに続けていた。
誰にも告げず。


良し悪しは余り意味のない事だと思っていたし、
そんなものはこの部屋以外の場所で考えるべき事柄だ。
それ以上ローは何も言わず、も口を開かなかった。




「まったく、お前は相変わらず嘘を覚えねェな」


実直さが美徳だと思うなよ。
彼はそう続け、呆れたように溜息を吐く。
とうに手の届かない存在と相成った彼は、変わらず姿を見せる。
流石に頻度は落ちたが、特に問題は無い。


は告げたまでだ。
もう会わない。
意味が無くなってしまったと。
正直さが美徳と考えてはいない。
そこまで美意識は高くない。


「別に、あえて変える必要があるとも思えねェ」
「嫌なのよ」
「勝手な女だな」
「どっちが」



ローの目線が見据えた。間を置かず距離が近づく。
僅かに驚き、瞬きを一つ。


「選択肢があるのはお前じゃねェ、俺だ」
「何?」
「酔狂でこんな真似をするほど、暇じゃねェんだ」


まるで湿度の無い彼は、やはり無感動のまま伝わらない感情を晒し、
受け止める術のないは、頭だけ置き去られたまま、





相変わらず本誌を読んでおらず、
又聞きの状態でローが云々、スモーカーが…
今年に入り多忙すぎて死んでます。

2012/7/13

AnneDoll/水珠