そんなバカな事はないのだとは言い、呆れたように笑った。
そんなものは全てあんたの妄想で、あたしの心はおろか、
あんたは自分の気持ちさえ理解っちゃいないのよと言わんばかりにだ。
だったらお前はどうなんだと問えども、まあ無論、彼女は何一つ答えはしない。
今更純情振るなと言いたいのだろうが、
こんな二人っきりの空間くらい、
センチメンタルに埋めさせろと思うわけだ。
俺だけが悪いってのか。
言葉にはせずとも、どうやら眼差しで伝わるらしい。
そんな距離感にまで近づいたというのに、どうしてこうもつれない。
肩書きを求めるわけではないが、多少のアメくらいは頂戴したい。
何かを得ようとも思わないし、生み出そうとも思わない。
そこまでおこがましくは無い。
しかし、余りにも非生産的すぎて、ちょっとだけ虚しくなったのだ。
俺の時間は無限じゃあねェ。無論、お前の時間もそうだろうが。
「なぁ、」
「何?」
「お前、何が欲しい」
「ええ?」
「言えよ。何でもくれてやる」
「大口、叩いちゃって」
あたしの欲しいものは全部自分で手に入れるの、
あんたの手を煩わせる事はないでしょう。
相も変わらず可愛げのないはそう言い、キッドの頬を軽く撫でた。
ああ、そうだ。分かってる。俺ァ重々承知だ。
こいつの心はハナからここにゃねェし、これからも掴めねェ。
泥沼にはまっちまったのは俺の方で、こいつは俺のミスだ。
クソが。まさか、この俺が。こんな、バカな真似を。
「…好きだぜ、俺ァ」
「…何よ、珍しい」
一瞬だけだが、取りとめの無い空気が流れたような気がして、ふと我に返る。
の目がこちらを捕らえ、捕食される気がして、思わず舌打ちをした。
久々ー
更新久々すぎて笑えないわー
2012/7/13
AnneDoll/水珠 |