立体構造を保つための儀式





血の気の多いイメージはどうにも評判を下げるだけで、
だからといって穏便な性質だと思われるのも癪だ。
大体がどうでもいいスタンスで物事をさらりと受け流す。


強さを知らしめる為に、
オーバーリアクション気味な反骨精神を演技過多で大衆の目に晒す。
恐れを抱くという事は、敵いはしないと認める、という事だ。
だから多少の脚色には目を瞑る。


周囲が勝手にこちらを持ち上げている現状で、
自分の立ち位置さえ見失わなければ物事は笑えるほど上手い具合に進むのだ。
それを知って以来、そのやり方を心得て以来、
何と問題の起こらない順風な生活を送っているのだろうか。


金の稼ぎ方もすっかり分かったし、パフォーマンスのやり方も知り尽くした。
誰もが羨む生活を手に入れたわけだ。
それなのにどうしてこんなにも餓えるのだろうか。
もっと、もっとと血を求めるのか。


暇で暇で仕方がない。
こいつは生まれ持っての性質だ、決して満足する事がないのだ。
自身の事はこんなにも分かっているのに、どうして満足する方法だけが分からない。
だからは、きっと顔を見せる度にうんざりした顔をする。


「顔を見せれば喧嘩を売って来るの、本当にやめて」
「喧嘩なんざ売ってねぇぜ、俺ァ。もしお前がそう思うんなら、買えばいいだけの話じゃねぇか」
「そういうのをやめてって言ってるのよ」
「フフ」
「今更あんたが手を出すような事じゃないでしょ」
「暇なんだよ、俺ァ」
「あんたの暇潰しに付き合えるほど暇じゃあないのよ」
「いいじゃねぇか、誰もこの俺とは遊んでくれねぇんだ」


だから遊んでくれそうな相手を見つけ、こうやって手を伸ばしている。
たまには力を見せ付けないと。
は決してこんな遊びに乗らないが、相手をしてくれるだけマシなのだろう。
暇潰しにはなるからだ。


「あんたと遊ぶなんて、それこそ絶対に無理」
「つれねぇな」
「命が幾らあっても足りないわ」
「楽しいんだぜ、俺との遊びってヤツは」
「聞きたくない」
「いいじゃねぇか、聞いてくれよ
「嫌だって!」


執拗にを追い掛け回せば、彼女が本気で逃げ出すもので、尚更面白い。
ドフラミンゴが手を伸ばした。
辺りの視線が一気にこちらへ集中し、
さて舞台は整ったと、演技過多のパフォーマンスの準備を始める。





自由な男、ドフラミンゴ。
まあ、彼は元々自由な男ですが。
今回の更新はドフラを書いた気がするなあ。
どんな遊びをするんだという。
2010/5/20

なれ吠ゆるか/水珠