殺意を持って君を愛す

サドンデスが開始されたのがいつの話だったのだろう。
酷く疲れきっているのは時間が長いからだろうか。
同じ立場を望みまず両者退路を断ち切った。
笑っていたように思える。何もおかしくはなかった。
喜助の横顔しか思い出す事が出来ない。無理ならばよせと喜助は言うだろう。
無理は百も承知だったのだ、最初から。
そこまで驕っていたのかと怒りさえ覚える。ふざけている。
だからいつか殺してやろうと思っているだけだ。


「具合が悪いわ、あたし」
「そりゃあ、大変だ」
「そうよ、大変よ。大事なのよ」
「横におなりなさいよ、


喜助が手を握る。
少しだけ汗ばんだ掌がやけにリアルでは目を閉じる。
水泡が頭の中で弾ける。又出て来る。又弾けた。


「ねえ喜助」
「何です」
「エッチしてよ」
「・・・何を言ってるんです?」
「エッチしてって」
「あんた、具合が悪ぃんでしょう」


辻褄の合わない事を言っていると思う。喜助も呆れている事だろう。
只してくれない状態を我慢出来ず自ら手を出せば
哀れむような眼差しを受け一層遣り切れなくなった。
もうこれ以上あたしを貶めないでよ。

やりたがる女の話だけなハズでは決して・・・!