蒼ざめたミルク

話を半分くらい聞き流してそれで毎回終わりだ。
余り真剣に話を聞く事はないから。真剣に聞く話なんてそうないから。
だから目の前でコーヒーを飲んでいる将五の話も大して聞いていないわけだ。
そもそも何故将五は自分を呼び出したのだろうか。
会話が弾む相手でもないはずだし会話の弾まない相手と過ごす時間は大層窮屈なのに、だ。
将五はそう思わないのだろうか。
武装戦線の一員である将五は人目でそうと分かる。
ライダースが似合う男ってのは貴重だと思うわ、確かにそうは思う。

「・・・で、さ」
「何」

大して言う事もない、
それでも沈黙に耐え切れず口を開けば
不必要に大きな反応が返ってきては笑い誤魔化す。
どうして今になって顔上げるのよ。

「あの、さ」
「悪ぃ」
「え?」
「俺のせいだな、悪ぃ」

謝られても。

「何か用とかあったの?」
「いや、別に」
「うん?」

あなたなしではいられないから。こんな俺を助けて下さい。
そんな浮ついた台詞言えるわけがない。
何となく笑顔で誤魔化してしまった将五は
やはり笑顔で誤魔化すを見ながら同じ事の繰り返しだと溜息を吐く。

九里虎は出て来なかったヨ・・・