灯篭談話

アーロンが何ともいえない眼差しで
こちらを見ているものだから
非常に腹のたったは立ち上がる。
丁度寝ずの番の担当が今回とアーロンだったのだ。
そもそもティーダに任せても寝てしまうし
(それはリュックにしろワッカにしろ同じだ)
やはりこの二人が適役だと思える。
焚き火越しにずっと黙すアーロンに不満は覚えていた。
つまらないじゃない。

「ねェ」
「・・・何だ」
「何か言いたい事でもあんの?」
「ないな」

アーロンはの参加に激しく反対した。
その理由はにだけ分かる。

「あんた、まだ怒ってんの?」
「・・・」
「しっつこい男ね」
「お前だろう、それは」

思わず目を丸くしたが目にしたものは
恐らく呆れたのであろうアーロンの姿であり
少しだけ笑えた。









「ねえジェクト、あたしに会いたかった?」
「あぁ、会いたかったぜ
「本当?どのくらい会いたかった?」
「そりゃあ、死ぬ程、死ぬ程会いたかったさ」
「あたしこのまんまこの世界がなくなっちゃってもいいの」
「おいおい・・・アーロンに聞こえるぜ」
「あんたがいるんならこの世界がなくなっても構わない」

そんな(歯の浮くような)殺し文句さえ
平気で口にする事が出来た。ジェクトがいれば。

「そうだねェ、・・・
お前は俺がいなくなっちまったら・・・」

それより先の言葉なんて覚えちゃいないわけだ。
だって、要らないじゃない。









「お前は繰り返さなくてもいいだろう」
「だって、ズルイ」
「何がだ」
「あんただってあたしと同じじゃない」
「よく言う」

そうしてよく喋るな本当に。
気を抜けばすぐにでも消えてしまうこの身体を
どうにか持たせているのは彼に対する醜悪な執念だ。
汚いものだと自負している。

「ジェクトの息子、似てるって思う」
「あぁ」
「でもやっぱ、ジェクトじゃないのよね」
「歳を考えたらどうだ」
「あんた結構酷いわよね」

一瞬の閃光の後真っ暗な空間を泣きながら彷徨っていた。
ジェクト、ジェクト。
そう繰り返し頭の中で思い出ばかりを反芻し
それでも何も起こらなかった。
彼女を救い出す光りはこの息子から出るものだったのだ。
少し泣き、そして吐き気がした。

何だかもの凄い話になってしまった。
ジェクトの夢のつもりなのが又恐い。
記念すべきこのサイトで100個めの夢がこれだとは。
アンケ夢。ジェクト(しかしながらアーロン)